10.その男は… 2 ページ11
『で、魔法帝ってなんですか』
すっかり強大だったマナを引っ込めて今度も見知らぬ人に変身したユリウスに尋ねると驚いた顔をされてしまった。
「あ、そういえば魔法騎士団についても詳しく話してなかったね。
魔法騎士たちの中でも特に強い数人が各騎士団の団長を務めている。そして魔法騎士団を率いるのが、魔法帝さ。」
『え、じゃあ。すごいすごい人じゃないですか』
ヘラヘラと笑いながらユリウスの顔を窺うが別に何か企んでいる様子はない。
それも気になるが、1番気になるのは街の人からの目線だ。
今ユリウスは少し威厳のある貴族らしい格好をした50代ぐらいの男に変身している。そんな男が黒髪に黒目、少しだけ黄色がかった肌と明らかに異邦人の自分を連れているのだ。目立たない筈がない。
『どこまで行くんですか』
「あそこの宿かな。あの宿に入ったら先に食事でも済ませてしまおうか。あと、別に変に敬語を使わなくてもいいんだよ」
まだ長い間この視線を浴びるのかと思うと嫌になる。
ジロジロとこちらを見てくる奴らを睨みつけ、フンと鼻を鳴らす。
『というか、週1くらいのペースで来てたけど案外魔法帝って暇なんですね』
「え、あ、うん!そっ、そうだね。ははは。」
あ、このオッサン嘘ついてんな。
ジト目で見ていると気まずいのかさっと視線を逸らされてしまった。
「ちょっと、ようやく捕まえましたよ!ユリウス様、この後大事な会議があるって言いましたよね⁈なんで休憩時間にぶらりしてるんですか!早く戻って来てくだい!」
ユリウスの隣に白い光が発生したと思ったら、何かを捨て台詞のように叫ぶとプツンと光が消えてしまった。どうやら通信魔法らしく、怒っていた男はユリウスの部下らしい。
『暇じゃないじゃないですか』
「いや〜、マルクスくんはすごいね、想像より早くバレてしまった」
『…仕事入ってるんなら迷惑だと思うし帰りますね』
逆方向に方向転換し、ダッと走り出す私を呆然としながら見るユリウスに少し罪悪感を覚えるが、まだ王都まで行く勇気もないしちょっぴりうん臭い男に対抗すべがない状態で連れて行かれるのは下手したら死んでしまう。飯は悲しいがもしもユリウスがもう一度浜辺の方へ来た時に言えばいい。
待って、と後ろでユリウスが言っているのを感じるがここで待つ奴はいないだろう。
ごめんなさい用事思い出したんで、とありもしない言い訳を残して足を早めた。
119人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
二度寝(プロフ) - 単行本でこの夢小説に影響するちょっとした出来事が起きたので牛歩どころか粘菌レベルの歩みの投稿ペースがさらに落ちますが、一応書いてます。 年単位振りの再会でストーリーの展開が分からなくなってきていますが、過去の私のメモのおかげでなんとか生きてます。 (7月24日 17時) (レス) id: 2efcf48650 (このIDを非表示/違反報告)
二度寝(プロフ) - お久しぶりです、作者の二度寝です。 久方ぶりの投稿がこんな内容になってしまうのは大変心苦しいのですが、少し考えていたストーリーを改変する必要が出てきたことをお知らせします。 (7月24日 17時) (レス) id: 2efcf48650 (このIDを非表示/違反報告)
^ナキア^ - 最高に面白かったです!もう神すぎてやばい_:(´ཀ`」 ∠): (2022年4月17日 18時) (レス) @page32 id: d9381db58d (このIDを非表示/違反報告)
引きこもり隊 - 一気読みしました!面白いですね‼︎頑張ってください‼︎٩( 'ω' )و (2022年4月4日 14時) (レス) @page32 id: 553232132b (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - お久しぶりです。久しぶりの更新お疲れ様です。気長に更新待ってますね頑張ってください! (2022年1月18日 20時) (レス) @page32 id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:二度寝 | 作成日時:2020年8月11日 0時