３ー４ ページ14
講義も終わり、マーサさんを門の外で待っているとヒールの音がした
私は本を読みながらその音が一定の規則性だったからか、なんとなく気になった
「ねぇ」
声をかけられて顔を上げる
短い髪の美しい女性
私と似てる白いタートルネックをしている
女優さんみたい
「あなた、Aでしょ」
「……ええ」
「ああ！会いたかったのよ！」
そう言って抱きしめられた
私が少しパニックになりながらどうするべきか迷っていると女性の後ろから
「やめなよマリー、昨日言っただろう」
男性の声がして女性は離れる
「いいじゃない」
「初対面の女に抱きつかれたら誰でもパニックになるよ」
白色で少しふわっとしている髪の男性がそう言ってから私をじっと見る
「……私は美智子の古い友人だよ。安心するといい。こっちも同じ」
「私はマリー、この方はジョゼフって言うの」
そう言ってにこりと笑うマリーさん
「……A、です」
「ああ、知ってる」
そうジョゼフさんが言うと携帯が鳴る
「失礼…………ジョゼフです」
「あれでもそこそこ有名な人なの。業界内ではね」
「はあ…………」
そう言いながら数歩後ろに下がる
「そう警戒しないで、本当に私は美智子の友達よ。そんなに疑うならそうねぇ……あそこにいる占い師と納棺師に聞くといいわ」
占い師、納棺師？
首を傾げながらマリーさんの指差した方を見るとイライさんとイソップさんが出て来たところだった
「おや、マリーさんとジョゼフさん」
「……大丈夫ですか？Aさん、変なことされてませんか？」
「え、いえ……特には何も」
「もう心配症ね、私は何にもしないわ」
そう言ってマリーさんが不満そうに言う
何処か動作が本で見る女王様のようにも思えた
きっと気品の高い人なんだろうな
ジョゼフさんも一つ一つの動作が整っていて紳士的なように見える
「まあ……言った通り彼女は……ね」
イライさんが察して欲しいようにそう言って笑う
私が、なんなのだろうか
「分かってるわ。でも……いずれ思い出すわよ。悪夢も甘い夢もどちらも」
「そう脅さなくてもいいだろう」
ジョゼフさんが電話が終わったのかそう言ってマリーさんを呆れたように見る
「……今日は誰かと帰るんですか？」
「ええ、マーサさんと」
「十分お気をつけを」
そう言ってイソップさんとイライさんが手を振っていってしまう
「またくるわ」
そう言ってマリーさんたちも行ってしまった
風が優しく吹く中、本の途中のページをまた開いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
憐海(プロフ) - すみれ＠自由人さん» はじめまして！コメントありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。少し更新が遅いですが頑張ります！ (2020年5月10日 13時) (
レス) id: b11dc20a33 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ＠自由人(プロフ) - こんにちは、はじめまして！ この作品とても好きです！ 面白いので何度も読み返しています…！ 更新頑張ってください！！ (2020年5月8日 18時) (レス) id: 87f53a63fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：憐海 x他1人 | 作成日時：2020年4月27日 9時
