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「花盗人の気持ち、すごく共感できるんだ。」
『ふーん、どうして?』
「綺麗な花は愛でたくなるし、手元に置きたくなる。
Aに対しても俺はそう思ってるよ。
…知らなかった?」
いつの間にやら、顔を手で包まれて、
思っていたよりも静かな表情と視線が交わった。
「どんな瞬間のAも閉じ込めておきたいと思うくらいには
Aのこと、愛してる。」
『…そういうもの?』
「そーゆーもの。」
『…そっかぁ。』
なんだか恐ろしいことを言われたような気がするけど
考える暇もなく近づいてきた唇に
なにもかもすべて呑み込まれてしまった。
「ほんと、憎たらしいね。」
一瞬、唇を離して彼が言う。
その瞳の奥底に、どろりとしたなにかが見えた。
『…憎たらしいの?』
「うん、でもね、それ以上に愛してるから。」
『よく分かんないね…。』
「…それでいいんだよ。」
『…っ…。』
これ以上は喋らないとの意思表示か、はたまた我慢できなかっただけなのか
すぐに唇を塞がれる。
優しさは少し残しつつ、主導権は握られて、
絶え間なく降る口づけに溺れるしかなかった。
「やっぱり閉じ込めていい?」
『…やだ。』
「はは、Aならそう言うと思った。」
『ジフナのこと、たまに分かんなくなる。』
「わからない部分も魅力的でしょ。」
そういうことじゃ、無い気がするけれど、
彼が言うなら、きっとそういうことなんだろう。
まあ、ジフナにとっての桜になれるなら
なんでもいいか。
いつの日か、頸動脈に手をかけられる日が来たとしても
きっと私は彼を愛すことをやめないだろうなと
頭の隅でそっと思った。
わたしたち、おたがいさまだね。
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ルナ(プロフ) - 晄さん» そう言っていただけて、とてもとても嬉しいです💕ありがとうございます😊 (2月14日 19時) (レス) id: c916babbac (このIDを非表示/違反報告)
晄(プロフ) - いやもう大好きです...💎💙 (2月14日 2時) (レス) @page17 id: 6b3500ac41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルナ | 作成日時:2024年2月7日 20時