検索窓
今日:6 hit、昨日:83 hit、合計:33,772 hit

. ページ7

「花盗人の気持ち、すごく共感できるんだ。」

『ふーん、どうして?』

「綺麗な花は愛でたくなるし、手元に置きたくなる。
Aに対しても俺はそう思ってるよ。

…知らなかった?」



いつの間にやら、顔を手で包まれて、

思っていたよりも静かな表情と視線が交わった。



「どんな瞬間のAも閉じ込めておきたいと思うくらいには

Aのこと、愛してる。」

『…そういうもの?』

「そーゆーもの。」

『…そっかぁ。』



なんだか恐ろしいことを言われたような気がするけど

考える暇もなく近づいてきた唇に

なにもかもすべて呑み込まれてしまった。



「ほんと、憎たらしいね。」



一瞬、唇を離して彼が言う。

その瞳の奥底に、どろりとしたなにかが見えた。



『…憎たらしいの?』

「うん、でもね、それ以上に愛してるから。」

『よく分かんないね…。』

「…それでいいんだよ。」

『…っ…。』



これ以上は喋らないとの意思表示か、はたまた我慢できなかっただけなのか

すぐに唇を塞がれる。

優しさは少し残しつつ、主導権は握られて、

絶え間なく降る口づけに溺れるしかなかった。




「やっぱり閉じ込めていい?」

『…やだ。』

「はは、Aならそう言うと思った。」

『ジフナのこと、たまに分かんなくなる。』

「わからない部分も魅力的でしょ。」




そういうことじゃ、無い気がするけれど、

彼が言うなら、きっとそういうことなんだろう。

まあ、ジフナにとっての桜になれるなら

なんでもいいか。



いつの日か、頸動脈に手をかけられる日が来たとしても

きっと私は彼を愛すことをやめないだろうなと

頭の隅でそっと思った。


わたしたち、おたがいさまだね。

夏‐朝 🐯→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
210人がお気に入り
設定タグ:TREASURE , 短編
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ルナ(プロフ) - 晄さん» そう言っていただけて、とてもとても嬉しいです💕ありがとうございます😊 (2月14日 19時) (レス) id: c916babbac (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いやもう大好きです...💎💙 (2月14日 2時) (レス) @page17 id: 6b3500ac41 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ルナ | 作成日時:2024年2月7日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。