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首筋のラインに指を這わせて、ぐっと押し込む。

頸動脈が在る位置。

いつも触れる場所。



『…ぅ、あ、ジフナッ…。』



酸素が足りないからか、縋るようにこちらを見つめる瞳に、思わずぞくりとする。

支配欲に近い"ナニカ"がどろどろと身体を渦巻いていくのがわかった。



『ッ。じふなぁ…。あ…。あっ…。いき、できな…。』

「…もうちょっと。」



彼女の綺麗な瞳のなかに、少し歪んで恍惚とした表情の自分が映っているのが目に入る。

苦しいね。ごめん。

でも、もう少しだけ。



『…っん、ん。』

「…は。息きつかったね。ごめんね。」

『はっ。はーっ。』



圧迫する力を緩めて、唇も離す。

必死に酸素を取り込もうと、荒く呼吸をするAの頬をできる限り優しく包んで目を合わせた。

蕩けた目。

薄紅色に染まる頬。

その瞳に嫌悪感は見られなくて、少しだけ安心する。



『じふな…。』

「うん?」



落ち着いたのか、幾分意識がはっきりとしたAが、俺の手を握った。



『わたし、わたしね。あなたに手折ってもらえるなら、とってもとっても幸せよ。』



発された言葉が、じわりじわりと染み込んで、心を満たしていく。

ああ、もう。そんなだから俺みたいな男に捕まっちゃうんだよ。

Aは、ずるい。いつだって。



「…花盗人の話、覚えてたんだ。」

『うん。』

「そんなこと、簡単に言ったらだめ。」

『本気で言ってる。』

「…離してあげられないよ。きっと。一生。」

『いいよ。
だって私にはあなたしかいないもの。』



澄んで綺麗な瞳に俺が映る。

ああ、本当に、君ってずるい。


でも、そのままでいいよ。

そのまま、その瞳には、俺だけ映して。



「A。」

『なあに?』

「…もう一回、キスしていい?」

『どうぞ。…あなたが満足するまで。』



もっともっと俺に縋って、

俺がいなきゃ生きていけないって

そう言って。

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ルナ(プロフ) - 晄さん» そう言っていただけて、とてもとても嬉しいです💕ありがとうございます😊 (2月14日 19時) (レス) id: c916babbac (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いやもう大好きです...💎💙 (2月14日 2時) (レス) @page17 id: 6b3500ac41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルナ | 作成日時:2024年2月7日 20時

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