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「…。」

『…っ。んん…。』



暫くして、舌先で唇をつつかれる。


口を開けて欲しいときの
いつもの合図。


でも、今、口を開けてしまえば、ぐずぐずになるまで溶かされてしまうことは目に見えていた。

だから、せめてもの抵抗で堅く閉ざしていたのに、彼はそれすらお見通しだったようで



「言わないとわかんない?口、開けろ。」



冷たい瞳でぴしゃりと言い捨てられる。

その瞳のあまりの鋭さに、逆らってはいけないと直感的に感じたのか、
無意識に口元の筋肉が緩んだ。

その瞬間

緩んだ隙間から、舌が口内に侵入してきた。

最初は、ゆるりと歯列をなぞった舌が、
硬口蓋から軟口蓋にかけて、ゆっくりと場所を確認していくかのように、通っていく。



『…ぅん。やだ…。っあ。』

「嘘つき。ほんとは嫌じゃないくせに。」



背筋を走る、ぞくぞくとした感覚におかしくなってしまいそうで、生理的な涙がこぼれた。

そうしている内に、今度は舌を絡め取られて、深く深く口づけを落とされる。

逃げても、逃げても、すぐに捕まって、口の中全体を好きなように蹂躙されてしまった。



『っ。もう、むり…。』

「…っはあ。」



思う存分、唇を味わって、一応満足したのか、唇が離される。
その頃には、予感通りぐずぐずに溶かされてしまっていた。



「…。」

『…はぁ。はぁ。』



涙やどちらのものか分からない唾液でぐしゃぐしゃになった私の顔を、彼の大きな手が拭っていく。

必死に酸素を取り込みながら、縋るように、懇願するように見つめると、
三白眼が嬉しそうに細められた。



「ねぇ、ちゃあんと分かった?
Aは、俺がいないとだめでしょう?」

『…ごめん…なさい。』

「ふ、許して欲しいの?でも、まだだーめ。」

『…っえ。』

「Aが、悪いコだから。お仕置きしなきゃ。」



ゆるりと口角を上げて、微笑んだその姿は、とてもとても美しかったけれど
私は、悪魔が笑っているようだと思った。

抵抗する間もなく、再び始まった口づけに、為す術もなく堕ちていく。

諦めて、すべてを委ねた私を見て、嬉しそうに彼がつぶやいた。



「良い子だね。A。

死ぬまで、一生ずっと、俺を、

俺だけを見てれば良いんだよ。分かった?」

あとがきと反省。今後の展望?→←.



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ルナ(プロフ) - 晄さん» そう言っていただけて、とてもとても嬉しいです💕ありがとうございます😊 (2月14日 19時) (レス) id: c916babbac (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いやもう大好きです...💎💙 (2月14日 2時) (レス) @page17 id: 6b3500ac41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルナ | 作成日時:2024年2月7日 20時

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