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寒い冬。推しの誕生日である12月。
友達とセンイルカフェ巡り。
カップホルダーやフォトカードを貰って、足取り軽く家に帰る。
『ただいまぁ〜。』
「…おかえり。楽しかった?」
良い気分のまま、ただいま〜と誰もいないはずの家に向かって声をかける。
すると、本来いるはずのない人の声が響いた。
『ジフナ…なんで。今日収録あるって…。』
「早く終わったから会いたくて。」
『そっか。』
基本的には優しい彼は、推し活についても特に言ったりして来ない。
でも、少なからず、私の推しの存在は気にしているようだったので、私も彼の前でその話はしないようにしていた。
今日も来ないと思ってたから、こっそりイベントに行ったというのに。タイミングが悪すぎる。
「そう。それより、どこに行ってたの?Aちゃん。
その手にあるのは何?」
『えと…。あの。』
光の消えた黒い瞳が、こちらを向く。
いつもは優しい色を孕むそれが、冷たさと鋭さだけを持っていて
特徴的な三白眼も相まってか、迫力が増していた。
『(これは…やばい。)』
背筋にひやりと悪寒が走って、嫌な予感が駆け巡る。
重たい雰囲気が満たす空間に、静かに彼の声が響く。
「…俺がさ、何も気にしないって
何も思ったりしないって
Aは、本気で、そう思ったわけ?」
その音は、あまりにも温度がなく、冷たく、雪のようで、
嫌な予感が確信に変わる。
絶対にまずい。本格的に怒らせた。
『違っ…。ごめん。』
「知らないんでしょ?
俺がAのこと死ぬほど大切で、愛してることなんて。」
『…ねぇ。ジフナ…、』
「知らないんだから、仕方ない…か。
でも、
ちゃんと、教えてあげないと駄目だったみたいだね。」
その言葉を最後に、腕を掴まれて
壁に強く押し付けられる。
彼の綺麗な顔がすぐそばまで近づく。
怒りを含んだ瞳は、視線を外すことを許さないとでも言うような確かな圧を持っていた。
その近さに息を呑む暇もなく、頭を引き寄せられ、強引に唇が塞がれる。
『…っう。…じふなぁ。っあ、まって。まって。
…っねぇ。おねがい。』
「…そんなんじゃ足りないから。」
いつもの優しいキスじゃなくて、噛みつくようにキスをされる。
角度を変え、長さを変え、唇が食べられてしまうんじゃないかと錯覚するほどに。
息も絶え絶えになりながら、待ってと懇願するも冷たく跳ね返されて
彼から与えられる口づけに溺れるしかなかった。
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ルナ(プロフ) - 晄さん» そう言っていただけて、とてもとても嬉しいです💕ありがとうございます😊 (2月14日 19時) (レス) id: c916babbac (このIDを非表示/違反報告)
晄(プロフ) - いやもう大好きです...💎💙 (2月14日 2時) (レス) @page17 id: 6b3500ac41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルナ | 作成日時:2024年2月7日 20時