たとえ、君が犬でも -起- 【JM】 (ページ9)

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なんか心臓に悪い物みた気がする、と俺はバチバチと腹を探り合った様子に少し食傷気味になって、よろよろと椅子に座った。

でも、ナムジュニヒョンのお影で、彼女に対しての警戒心は半分くらい和らいだ。

椅子に座った俺に、仕事をしようと近寄ってきたAさんは、

『メイクからしていきます。今日はよろしくお願いします』

と丁寧に挨拶をして、俺の肌に化粧水を当てて行く。

「Aさん」

化粧水を含んだコットンで、目元を覆われながら名前を呼んでみた。

舌に馴染む、音な気がする。

…なんで俺、この人の存在にこんなに敏感になってんだろ。

とりあえず、警戒してたことは解消できたのに、まだ、指の小さなささくれみたいに、なにかするたび引っかかる感じ。

『ハイ。何でしょう、ジミンさん』

「ユンギヒョンと、何話したんですか？」

だから、気になってたことを聞いてみた。

そうしたら、少しは彼女と、俺のこの妙なひっかかりが解決できるかも、って思ったから。

『ユンギさんと？…ああ、それは』

『私の、持ちネタを少し』

ん、持ちネタつった？

芸人なの？