たとえ、君が犬でも -起- 【JM】 (ページ32)

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だから最初のユンギさんの時は、学校の試験のような気分でものすごくドキドキしながら担当させてもらった。

結果、思った以上に上手くセットできて、ユンギさんにも撮影スタッフにも褒めてもらえたのは、ほっとしすぎて膝から崩れるかと思った。

YG「悪くないよ。今後とも、よろしく」

そっけない言葉だったけど、ユンギさんがちょっと笑っていってくれた言葉が、本当に、嬉しかった。

最初の大きな試練は、それからだった。

アメリカでの長期のMV撮影。

コンセプト会議や全体の撮影イメージ共有で、とても大きな仕事になるとは思っていたけど、想像をはるかに超えていた。

メイクをしなきゃいけない人の、数が。

これ、映画の仕事じゃないの？と言うくらいの、出演者の数。

そして、もう一度言うけど、その全員分のメイク。

私はまだメンバーごとのメイク自体に慣れてないと言うこともあって、メンバーにはノータッチで、ひたすらダンサーとエキストラの人たちのメイクをしていた。

最初から手が足りないのは折込済みだったから、現地の撮影関連会社から応援のメイクスタッフが来てくれていたけど、全然足りなくて。

撮影時間までに間に合わせるために、私はもう下地は本人に塗ってもらって待機しててもらうと言う裏技まで使って、なんとかこなした記憶しかない。