たとえ、君が犬でも -起- 【JM】 (ページ17)

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業務の詳細と契約書を渡されて、それを目で追ううち、涙が溢れそうになる。

アリンオンニに、私はどんなお礼を返したら良いかわからないくらい。

SJ「その涙は、どっちのものか教えてもらっていい？」

は、と顔を上げた。

セジンさんは少し張り詰めた様子で、私を見ていた。

『…その、嬉しくて…』

硬質な態度の変化に戸惑って、滲んだ涙を指で払いながら恐る恐る応えると、ますます雰囲気が悪くなった。

SJ「それは、グループのメンバーに会えることが嬉しい、ってことでいい？」

『え？』

思ってもみない質問に、私は思わずきょとんと目をしばたかせた。

『…いいえ？私本当に、音楽聞かないんで…あっ、BTSだけじゃなくて、音楽そのものをってことです！だからどんな人達なのか、ニュースでしか知りませんけど…』

『あのきれいな人たちを、私がメイクも、セットもできるってことが、嬉しくてって言ったら、変ですか？』

本当に、それ以外の気持ちは、私の中にないのだけれど。

私の表情を時間を掛けて観察していたセジンさんは、私が目をそらさずにじっと見つめていると、何かを納得したのか、ふっと肩の力を抜いた。

それから満点の回答をもらったみたいに、顔中で笑って、私に握手を求めてくれた。

SJ「変なこと聞いてごめんね。ようこそ、ビッグヒットへ。仲間になってもらって、本当に助かります。これからよろしく」