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黙って彼女の後についていく、すると向いから歩いてくる愛おしい姿に目が離せなくなる。
「あ、北山さんおはようございます。藤ヶ谷さんお借りしますね♪」
「おはようございます、あの、すぐ撮影なんで後にしてもらっていいっすか?」
嫌味のない、愛嬌のある笑顔で彼女に訴えかけた北山。
それがなんだか嬉しくて今にも泣きそうになってしまった。
「あ〜!そうなんですかあ?藤ヶ谷さんったら何も言ってくれないからあ!じゃあまた後でお伺いしますね?すみませんでしたあ」
俺の前では見せない女優ならではの笑顔を作っては北山に頭を下げてスタスタと走っていった。
「……ごめん。」
何故急にこの言葉が出たのかわからないけど、とにかく謝りたくて、北山を見るとどこか痩せたように見える。聞きたいことはたくさんあったが、なによりも会えてこうして、彼女に断りを入れてくれたことが嬉しかった。
「ほら、いくぞ」
楽屋に向かう北山の後を追おうとしたが、歩こうとした瞬間に目眩がしては壁に寄りかかる。
「大丈夫か?!」
慌てた様子で駆け寄ってくる北山がどうも愛おしくて、廊下だというのに抱きしめてしまう。
「おまえ…熱あんじゃん」
俺よりも身長が低いくせにひょいと腰を持ち上げられ「歩けるか?」と支えてくれた。
楽屋につけばみんなが心配して駆け寄ってきてくれる。
またすぐ楽屋を出ていった北山の背中を見送ってはそこからの記憶はない。
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作者名:妖狐 | 作成日時:2019年11月2日 5時