イケメンは恋愛対象外です。～fourth～【ＳＳ】【ＯＳ】 (ページ11)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:73,196 hit

～１５５～ページ11

もうもはやチラ、ではなくジロジロと私達を見る人達。

そりゃそうだ。営業部のエリートが何でここに？って感じだろうし。

何だか申し訳なくなってきた････。

『しょっ、翔くん････！一人でも歩けるから･･･！』

「はぁ？捻挫してんだろ。あの田中とかいう奴の手借りようとしてたくせに何強がってんだよ」

『いやあれは支えてもらおうと思っただけで･･･おんぶは流石に････』

「何か文句でも？」

『翔くんが注目されちゃうじゃん････』

「･･････」

噂されるかもしれないし。

そうしたら翔くんに迷惑がかかってしまう。

それだけは嫌だから。

「･･･お前が捻挫したのは俺のせいだから」

『････え？』

「その責任くらいちゃんと自分で負う」

『責任って、そんな大袈裟な･･･』

「うっせ。落とすぞ」

『ご、ごめん！』

翔くんの体が後ろに傾き、慌てて腕の力を強めた。

ふわりと、大好きな香りが鼻をくすぐった。

女性みたいな良い匂い。

この匂いが大好きだった。

目を閉じると頭に浮かぶ数々の思い出。

もう二度と戻らない宝物。

･･････本当に？

本当に二度と戻らない？

こんなことを思ってしまう私は女々しい女だと思う。

「ほら、降りろ」

『っ、あ、ありがとう･･･』

私はソファに座り、翔くんが棚から救急セットを取り出す。

そのまま靴を脱がせて足首を治療し始めた。

････沈黙が痛い。

な、何か話さないと。

でも何を話す･･･？

「････そんなにじっと見られるとやりにくいんだけど？」

『！ごっ、ごめん！そんなつもりじゃ････えーっと･･･』

いざ話そうと思っても、「聞きたくない」とか言われたらどうしようって
その怖さがある。

「･････話」

『え？』

翔くんは治療を続けたまま口を開いた。

「今なら聞いてやれるけど」

『････いいの？』

「ただし治療が終わるまでな」

『え、』

捻挫の治療なんてすぐに終わってしまう。

これはチキンになってる場合じゃない。

早く話さないと････でも･･･、

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ああもう、ダメだダメだ！！

声出して！

ちゃんと言いたいこと言わなきゃ！

『あ、あのっ！この前のことなんだけど！』

「この前って？」

『･･･翔くんと、食事････した日･････』

低い声で話してるの怖いけど、勇気出さなきゃ絶対後悔する･･･！