イケメンは恋愛対象外です。～fourth～【ＳＳ】【ＯＳ】 (ページ29)

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『････確かにそうですけど、でももう二か月以上も前の話ですし･･･』

「でも翔さんはまだあんたのことが好きなのよ」

『･･････そ、そんなわけないでしょう････むしろ嫌われてると思います』

自分で言って落ち込む。

あんなことされてまだ好きだなんて、あり得るわけない。

私なら嫌ってるもん。

「････まぁいいわ。私があんたに言うことは一つだけだから」

『？な、なんでしょう？』

意外にも声を荒げることもなく、

冷静に、ハッキリと彼女は告げた。

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「もう二度と翔さんには近付かないでもらえる？」

『････え？』

近付くなって････。

『お言葉ですが、私は元から櫻井くんに別れを告げられています。「もう二度と会いたくない」とも言われました。近付くもなにも、あちらがそれを拒んでいるので･･･』

「だから言ってるでしょ？翔さんはまだあんたのことを忘れられてないの！もし「ヨリを戻そう」なんてあんたに言われたら頷いちゃうかもしれない」

『それはあり得ないと思いますけど････』

「ごちゃごちゃうるさい！とにかく近付かないで。喋りかけたりしたら････分かってるわね？」

社長令嬢の言ってる意味が分からないし、
そもそも翔くんは私のこともう好きじゃないって言ってるでしょ。

どんだけ心配性なわけ？

と、いう文句は口に出せず。

社長令嬢の鋭い視線に、私はただ頷くしかなかった。

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「お疲れ」

社長室を出ると、壁に寄りかかった松本くんと目が合った。

『えっ！？仕事に戻ったんじゃ････』

「ホントに戻るわけないだろ。それで？録音はしたか？」

『したけど･･･これいつ使うの？』

「もしあいつに手出された時の切り札として使う。絶対に失くすなよ」

『う、うん･････。････あの、松本くん』

「ん？」

翔くんはまだ私のこと好きでいてくれてるの？

なんて、聞けるわけがなかった。

私がそんなこと聞く資格ない。

もしそうだったとしても私には何もできない。

どんな顔をしてヨリ戻そうとか言うの？
それこそ、智と離れろっていうのが条件だとしたら絶対に呑み込めない。

だけどこのままじゃ翔くんは社長令嬢と結婚するかもしれない。

「････大丈夫。翔くんはあんな女と結婚なんかしねぇよ」

『････････えっ？』

･･･まさか松本くんが慰めてくれるとは思わなかった。