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『聞いたならわかったはずです。私はあなたの隣に立てない』
はっきり告げたのに、電話の向こうのジンさんは予想してた話なのか、動揺するような気配は無くて、むしろ
SJ「誰が決めたの」
なんて、話を続けようとするもんだから、私は地団駄を踏みそうなくらい焦れて、苛立った。
『私です！私が決めたから、無理なんです！どうして聞いてくれないの？』
SJ「どうしてって、だって俺もヨンエちゃんも…たぶん他お前のこと知ってる人なら、そうは言わないからじゃない？」
ああ言えばこう言うの、応酬が終わらない。
…そう言えば、ジンさんと話すといつもそうだった。
会場で、二人で話すの、ほんと話題が尽きなくて。
ジンさんといると、コンパニオンってペルソナ着けるの忘れるくらい、素でいられた。
『駄目です。私はジンさんに良くありません』
思い出を振り払うように首を振って、精一杯毅然と言い切ったのに。
SJ「お前は俺の母親なの？付き合う人間は自分で決めるよ。うるさく言わないで、オンマ」
『…ジンさんっ』
埒が明かない会話に、苛立って名前を呼んでしまった。
SJ「なんだよ」
バタン、って車のドアが閉まる音が電話越しに聞こえた。
きっと目的地に付いたんだ。
どんな予定か知らないけど、この電話はもう終わり。
『あなたが私を思ってくれたことだけで、十分なの』
本当に、終わりたいのに。
SJ「独りよがりはやめろって。俺はそれじゃ、満足しない」
キンコン、って部屋のチャイムの音がした。
『なんで』
SJ「ん？聞こえた？」
『なんで、私の家のチャイムの音が、電話からも聞こえるの』
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年5月17日 13時
