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私のばっさり切り落とすような言葉に、ジンさんはノーダメージで笑ってる。
SJ「ひどいね。もっと結論引き伸ばしたら？会場でスカウトの手をのらくらかわす、Aはどこに行ったんだよ」
『もう表には立ちませんから、そんな人は消えました』
SJ「…なら、今そこにいるのは誰なの？」
変な質問。
『私は、私です。ジンさんとは無関係になりたがってる、一般人の、事務職の』
変な答え。
私の涙腺は壊れてだらだら水を流し続けてるけど、きっとジンさんには私のおかしな鼻声聞こえてんだろうけど。
『もう、電話してこないでください。
履歴を消して、番号消して。
それで、おしまいにして』
SJ「…ガタゴト…ゴト、ゴソゴソ…」
魂の首根っこをぎりぎり締めて殺しながら言ったってのにジンさんは無言で、なんかごそごそしてる。
いらっとしたわ。
『ジンさん？ねえ、そっちから電話かけておいて放置してます？ひょっとして』
SJ「聞いてるよ。なんだっけ？事務職のAだっけ？」
『無関係になりたがってる事務職のAです』
SJ「長い肩書だなあ。覚えらんないよ」
『記憶力どうしたんですか？私にバカバカいうくせに、急に痴呆でも患いました？』
SJ「そんならAのことも忘れてるよ…忘れらんないから毎日カトクしてんじゃないの」
『読まれもしないの、わかってるのに送り続けるのってストーカーっぽくないですか？』
SJ「Aがほんとに嫌なら送んないよ」
『…っ、…ほ、ほんとにいやです！』
SJ「うわびっくりした。そんな高い声急に出さないでよ。鼓膜キーンてなった」
『ほんとに嫌です…大迷惑です…だから』
SJ「あ、すみませんこの住所にお願いします」
明らかに私に言ったんじゃない言葉と、バタンってドアが閉まる音。
『…ジンさん、移動中ですか？それなら、私切ります』
SJ「移動中なの。この後数十分一人で暇だからなんか話してよ。どうせ俺がAと話せるのこれが最後なんでしょう？だったら少しは」
SJ「恋破れた俺に、優しくしてくれても良いんじゃないの？」
ぐうって、喉が変な音立てた。
論破されて、何も言えない。
確かにこれが最後のつもり。
それなら。
『…どこに、行くんですか？』
もう少し、私が好きなその声を、聞いていたい。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年5月17日 13時
