◇SJ◇ ページ14
Aとの事があったすぐ後に俺たちは2019年の夏休みをもらったから、本当にそのニヶ月近く、全くAには関わることはなかった。
っていうのも、電話しても取らないしカトクは既読すらつかなくなったし。
だから俺は休みが明けてすぐの会社のパーティに、率先して参加した。
あの、口の軽いレベルアップ著しい彼女を探して。
シフトの関係か何回か顔を見なかったけど、秋が始まる10月の中頃、
「やあ。こんばんは」
メインホールから出て、ロビーにあたる場所で接客してる彼女を、やっと見付けた。
Y「こんばん…っえっ、あ、こんばんは…？」
横からぽん、って既知の人っぽく肩叩きながら声かけたら、明らかぎょっとした顔するから笑ってしまう。
そうだよね、大体俺たちみたいなのから声かけられたら、コンパニオンでも一般人なんだから、多少は動揺するんだって。
それを軽く受け流してたAの方が、ものすごくおかしかったんだって。
だから興味が湧いて、
見かけたら姿を追って、
暇があったら寄ってった。
俺の方が、最初から。
Aに、夢中になってたんだ。
「おかわりください」
Y「あ、ハイ。どうぞお好きなものをお選びください」
「グラスはこのまま置いてもいいの？」
Y「かまいません。ありがとうございます」
当たり障りなく、コンパニオンとホストの会話をして、それから。
「Aどうしてる？」
さり気なくも何もなく、ニコっと笑ってダイレクトに聞いた。
そしたら彼女、ぎょっとした顔で俺を見て、ためらいがちに口を開く。
Y「オンニは、生きる屍です」
面白いじゃん、この子。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2023年5月17日 13時
