紫苑が咲く頃に【H×H】 (ページ31)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:273 hit

30 ページ31

裏口から侵入して、ネクタイを再度整えた。

上等なスーツさえ用意出来れば怪しまれることはないだろう。オークション会場のホールに足を踏み入れ、最後列の一角に腰を下ろした。

品物を競り落とすほどの金は持ち合わせていない、組の下っ端が競り落とした品物をあとで奪えばいい。そう思っていたけれど。

「皆様、ようこそお集まりいただきました。それでは堅苦しい挨拶は抜きにして…」

「くたばりな」

壇上に現れた男が二人、そのうちの一人が耳を塞いだかと思えばもう一人の男の指先から高威力の念弾がマシンガンのように発射される。

ホール内には念を使えない物もいるようで、なすすべもなく床に倒れていく。ヒサメは死体を盾にしながら、ホールの出口を目指すが死体が邪魔でまだまだ時間がかかりそうだ。

そんな中、小柄な男と視線がかち合った。

「ワタシ生き残り出さない主義ね」

「こんな大暴れしちゃあマフィアも大騒ぎだろうな」