紫苑が咲く頃に【H×H】 (ページ29)

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「シオンも会場行く？」

　
そう尋ねられたのは先発として動く組が決まった時だった。

別に行きたくないわけではないが、カラスと視覚をリンクできる彼女は借宿に留まろうと、現地に赴こうとぶっちゃけ大差ないのである。

「今日はお留守番します。その代わりにこの子を」

シャルナークの肩に一羽のカラスを止まらせた。群れのリーダーとは別個体である。

「何かあったらすぐに対処できるように。万が一、の可能性もありますので」

「りょーかい」

先発組を見送って、シオンはクロロの隣に腰掛けた。そして目を閉じて、先ほどのカラスと視界を共有させる。

操作系寄りの特質系の能力だ。どれだけ離れた場所であろうと、一度視覚を共有させていれば問題ない。

ただカラスが死んでしまえば視界はぶつりと切断されるし、共有させている間は自身は全くの無防備になることが弱点である。

「問題ないか？」

「まだ出たばかりですよ、お兄様」