紫苑が咲く頃に【H×H】 (ページ25)

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カラスたちに別れを告げて、借宿へと戻ればシャルナークとフィンクス、パクノダたちがいた。

「仕込みは順調？」

「えぇ、仲良くなれて何よりです」

「今回もシオンの偵察頼りにしてるからね」

「お任せください」

念能力は決して完全無敵というわけではない。複雑な能力であればあるほど、それを成すためにクリアしなければならないステップが存在する。

シオンの場合、操るカラスとコンタクトをとることは絶対条件であり今回はたまたま群れに遭遇できてラッキーである。

「競売は今日からだったかしら？」

「あぁ、4〜5日かけて数多の品物がオークションにかけられることになる」

「カァ」

静かなホールに、カラスの鳴き声が響いた。

割れた窓の隙間からあの群れのリーダーが顔を覗かせていたかと思えば、シオンの肩に着地する。

「もう懐かれてんのかよ」

「人慣れしているようで安心しました」