紫苑が咲く頃に【H×H】 (ページ12)

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団長、と聞いてヒサメは僅かに首を傾けた。リーダーをそう呼ぶ窃盗集団の心当たりは1つしかないが、だとしたら面倒なことになるかもしれないと。

｢何を揉めているかと思えば……展示品を狙っているという噂は本当だったようだな、“ドール”｣

｢……なるほどな、やっぱり幻影旅団か。噂は色々聞いてるさ｣

｢そういうお前も裏では有名だ｣

口調や声色こそ穏やかだが、空気は僅かに緊張している。警戒というよりはお互いの出方を伺っており少なくとも今すぐ戦闘にはならないだろう。

のんびり眺めずさっさと撤退すべきだったと内心後悔するヒサメをよそに“団長”は口を開く。

｢ソイツは妹が前から欲しがってたものだ、譲ってやれないか？｣

｢お前も盗賊ならわかんだろ｣

｢…そうだな。欲しいものは奪い取るし、ましてやそう易々と譲ったりはしない｣