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体の奥で、なにかが崩れるような音がした。
飛行機が機体にてらてらと太陽を滑らせて空を駆け昇っている。
「 ―――くん 」
青白い顔で振り向いた彼が炎天下にじんわりととけていってしまうような気がして、
思わずその腕にしがみついた。
「 A 」
彼は幾秒遅れて私に目を向けると、いつものようにあかるく微笑んだ。
「 A 」
彼の背中に大きな雲が立ち昇っている。
セキランウンだ、と半分空気に流れ出してしまったような脳でぼんやり考えた。
「 どうしたらいいのかな、俺 」
ふうっと力の抜けたように細くなった彼の目には、私が映っている。
欠陥品の私が、映っている。
微笑みが貼りついた彼の唇が赤い。
ふやふやと空をただよっている軽い雲も、
風に揺れる紺のスカートも、
そこからのびる私の脚も。
なにもかもが不透明にそこにあるのに、
彼だけがやっぱり澄んで滲んで、
消えてしまいそうだ。
続く
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作者名：fixx | 作成日時：2015年1月27日 14時
