【28】side.O ページ28
最近、様子が変だ。
翔くんが翔くんじゃない。
スマホで調べてみたら、疑われるのが「解離性同一障害」というものだった。
「…多重人格…てことは、さっきの翔くんは…別人格の翔くん。」
振り返ってみよう。
『サトシクン、ボクは何でも知ってるよ。ずっと、視てるから、何でも分かっちゃうんだ。』
一人称がボク。
そして、他人事のような感じ。
姿は翔くんだけど、中身は翔くんじゃない。
だから、もう一人の翔くんが現れ、俺を怒らせるような行動をしても、主人格、つまり、本来の翔くんは記憶を保持していなくて、分からないんだ。
それに翔くんはもう一人の自分の存在を把握していないから、余計に分からなくて、混乱して、心のバランスが取れないんだ。
そして、もう一人の彼の出現は、人格を把握できていない翔くんには、コントロール出来ない。
いつの間にか、主導権をもう一人に取られている状態と言っても過言では無いという感じだ。
でも、それを本人にどう説明すればいいのだろう？
精神科に行くしかないのかな…。
「智くん？」
目覚めた翔くんはいつもの翔くんで天使のように微笑んでいる。
「翔くん、病院、行こう。」
「病院？智くん、何処か悪いの？」
「いいから、来て。」
翔くんの事を考えれば、いきなりで大変だろうけど、酷くなる前に早くしないといけない気がする。
恋人として、翔くんが翔くんじゃないのは嫌だ。
車に乗せ、近くの精神科のある病院へ向かう。
「せ、精神科？」
「翔くん、多分だけど、君は解離性同一障害だ。世に言う多重人格だよ。」
「お、俺が？俺は一人だよ。俺以外…。」
翔くんは俯いていた。
表情が見えない。
だから、余計に怖い。
手を繋がれた。
俺の手はキツく握られていて、僅かに震えている。
診察の時間となった。
俺は至って普通なのだが、隣には恐る恐る診察室に入る翔くん。
事情を説明すれば、医師も納得していた。
「違う、違うっ！俺は俺だけだ！」
翔くんは頭を抱え、取り乱していた。
「櫻井さん、落ち着きましょう。確かに櫻井さんの中には櫻井さんという心、思考がありますが、大野さんの話を聞く限り、もう一人の櫻井さんの姿があると思えます。」
「そんな…俺は、俺はっ………ボクの事でしょ？」
翔くんはニコッと微笑んだ。
いつもの翔くんの微笑みじゃない。
「取り乱しちゃって、ふふっ、哀れなショウ。また、サトシクンに嫌われちゃうね。」
そう言って笑っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山風無限(プロフ) - 白恋悠宇さん» 一応、もう一度、コメントを返させて頂きます。ありがとうございます。なるべく、早く続きを書くつもりなんですが、忠実に再現したり、嵐さんのメンバーの設定とかもあるので、月一かニ位のペースになりますが、宜しくお願いします。 (2016年5月27日 0時) (
レス) id: 2ea08a95cc (このIDを非表示/違反報告)
白恋悠宇 - 続き期待してます！ (2015年3月1日 17時) (レス) id: dd0cd03f21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山風無限
x他1人 | 作成日時：2015年3月1日 17時
