【26】side.S ページ26
智くんが居ない。
居ないよ。
俺が悪い。
謝るから、何でもするから…お仕置きも受け入れるから…。
俺を突き放さないで、俺を独りにしないで、俺の側に居て…。
最低なのは、俺だ。
智くんを否定しておきながら、いざ、孤独になったら、恐怖と寂しさに身も心も震えてしまう。
最初から言わなければ、良かったんだ…俺が素直に受け入れていれば、良かったんだ。
俺は恐る恐るスマホを手に取り、着信履歴から、智くんという言葉を押す。
電話を入れるだけなのに、こんなにも緊張してしまうなんて、俺は相当だ。
「…ううっ、で、出ない…。」
出られないという状況かもしれないのに、俺は出ると思っていたから、出ない事に思わず、嘆くような悲痛な声が漏れる。
本当に嫌われたんだ…捨てられたんだ…。
『翔くん。』
ああ、この期に及んで、貴方の綺麗な声が聞こえてくる。
ふわりと香る智くんの匂い。
居ないと分かっているのに、捨てられた筈なのに。
「翔。」
「さ、智…くん。」
「電話してくるから、必死になって帰ってきたんだけど、何？」
「……ごめん。嫌いって言ってごめん。俺、智くん無しの生活なんて考えられないし、出来ない。智くんが側に居ないと何も楽しくない。だ、だから、俺を捨てないで…。謝るから、何でもするから…。」
「気にしてないよ。翔くん、ちょっとカッとなっちゃったんでしょ？俺は分かってるから。それで、何でもしてくれるの？」
「智くんが許してくれるなら…。」
「良いよ。許してあげるから、俺の願い、聞いて？」
俺はそれに頷く。
智くんは床に座っている俺に視線を合わせるようにして、しゃがんだ。
「俺以外に揺らがないで？メンバーは勿論、後輩や翔くんの友達にも。」
智くんは俺の頭を優しく撫でながら、そう囁いた。
「俺は智くんしか見てないよ。」
「…そう。それなら、良いけどね？」
そう言って右手で頬を撫で、左手で顎を掴み、キスを落とした。
「…んっ、さと…くん、好き…。」
「俺もだよ、翔。」
智くんに「翔」と呼ばれると胸がぞくぞくと騒いで止まらなくなる。
智くんだけが俺の恋人。
俺は誰にも揺らがない。
そう、自己暗示をかけるように心の中で唱えていた。
「智くん、何処に行ってたの？」
「…内緒。」
内緒？
秘密なの？
俺に教えてくれないの？
俺には隠し事は無しと言うのに…。
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山風無限(プロフ) - 白恋悠宇さん» 一応、もう一度、コメントを返させて頂きます。ありがとうございます。なるべく、早く続きを書くつもりなんですが、忠実に再現したり、嵐さんのメンバーの設定とかもあるので、月一かニ位のペースになりますが、宜しくお願いします。 (2016年5月27日 0時) (
レス) id: 2ea08a95cc (このIDを非表示/違反報告)
白恋悠宇 - 続き期待してます！ (2015年3月1日 17時) (レス) id: dd0cd03f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山風無限
x他1人 | 作成日時：2015年3月1日 17時
