嘘つきと恋 (ページ13)

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episode13 ページ13

*satoyasu side

小柄でいつも端の方で物静かに
俺たちの曲を聴いてくれてる子がいた。

それがAちゃん。

よく来てくれてた事もあってか
彼女の顔はメンバー全員覚えていた。

「今日も来てくれてたねー」

「いつも有難いよね」

「まだ近くいたりするかな？」

帰り道、
メンバーがそれぞれ彼女の事を話してた時
丁度、前方を歩く姿がみえた。

声を掛けようとしたら、
どこからか現れた男二人組に話しかけられていた。

その様子をメンバー全員が立ち止まってみていたら
ふと、彼女が振り返る。

目が合うと困った顔でこちらに助けを求めてるようにみえた。

「その子俺らの連れなんだけど、なんか用？」

誰よりも早く動いたのは洋平だった。

それが彼女と洋平の始まりだった。

* * *

「お待たせしました」

「いやいや、こちらこそ夜遅くにごめんね！」

「いえ、行くって言ったのは私ですし大丈夫ですよ」

「そんじゃ...まあ、行こっか」

あれから通話を切った後すぐ
LINEで待ち合わせ場所を送って
暫くするとAちゃんが小走りで向かってきた。

あれから何年も経っているから当たり前なのだろうけど、

｢見ない間にめちゃくちゃ綺麗になったね！｣

｢そう、ですか...？自分じゃ分からないです笑｣

前髪を撫でながら照れる彼女の笑顔は昔と変わらない。
だけど、確実に時間は流れていて、
着ていた服も髪型も化粧も全て昔とは少しずつ変わっていた。

なんで俺がこんな寂しく感じてんだろ。笑

そうこうしてる内に予約を取って置いたお店に着き、
二人で中へ入った。