嘘つきと恋 (ページ1)

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episode1 ページ1

*you side

「なに、これ...」

友人の里香と居酒屋で飲んでた時、
思い出したかのように鞄から細長い1枚の封筒を取り出して、
それを私に差し出してきた。

嫌な予感がして、無言のままそれを見つめる私に催促するように、

「中見て？」

と言われる。

恐る恐る中に指を入れて、取り出せばライブのチケットで...

「...行かないよ」

そう言って、取り出したチケットを元に戻して里香に突き返した。

「なんで！？チャンスだよ！？」

チャンス...

何が？

今更なんなのって感じでしょ？

私は彼に会う権利も、
彼らの歌を聴きに行く資格もない。

もう、関わっちゃ行けないんだ。

お酒で回った思考を正そうと頼んで置いたお冷に1口つけた。

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私は昔、彼を酷く傷付けた。

「もう、好きじゃない」

って、嘘を付いた。

それを信じられなかった彼の手を振り払ってそれっきり連絡は取っていない。

「はぁ...なんでなの...」

里香は芸能のスカウトをされ、女優になった。

そこで出演した主題歌を彼らが歌うことになって仲良くなったらしい。

あれから家に帰ってそのままベッドの上で酔い潰れていた私の意識がスマホのバイブ音で起こされる。

昨晩、説得されても首を縦に振らなかった私に里香から駄目押しのLINE。

【行かないと絶対後悔するから】

返事をする事もなく、再び睡魔に襲われて眠りに落ちた。