FitnessClub JSB 3

俺の気持ちに気づいちゃった？ ページ9

「普通、女性は
恋愛したら綺麗になるって
言いますよね……」

「えっ？！」

「もうやだ……なんで？
こんなにがんばってるのに……」



ジムの休憩エリアという
公の場所にも関わらず、
泣きそうになってしまう。

手で顔を覆って俯いてしまった私に、
衝撃的な言葉がかけられた。



「もしかして、臣に告白された？
それとも、俺の気持ちに気付いちゃった？」



思わずがばっと顔を上げると
苦笑している直人さんと目が合う。

驚きとショックでアワアワしている私に
「ふたりで話せる場所に行こうか」と
声をかけた直人さんが立ち上がる。



「ちょっと抜けるって、直己に言ってくる」

「え、でも直人さん仕事中……」

「今はダイエットプログラムの
カウンセリング中だから。
場所変えるだけ」



そう言った直人さんに
マドネスへ連れていかれることに
なってしまった。

今日はもうトレーニングできないだろうからと
着替えるように言われ、
更衣室で帰る支度をする。

言われた通りJSBを出ると
黒のユニフォームの上に
MA-1を着た直人さんが外に立っていた。



「行こっか」



そう言われて歩き出したけど、
何も話すことができなくて気まずい。

体重が1キロ増えてしまったことなんて
吹っ飛んで、
今からどんな話になるのだろうと思うと
緊張してしまう。

それでも近くにあるマドネスに
あっという間についてしまい、
木の扉を開けると
隆二くんがちょっと驚いた様子で
出迎えてくれた。



「いらっしゃい。直人さん？めずらしい」

「ごめん、場所借りるね。テーブル席いい？」



隆二くんが頷いたので、
直人さんとふたりで奥のテーブル席に座る。

そこへ注文を取りに来てくれた隆二くんに
直人さんはウーロン茶を頼んだ。



「俺仕事抜けてきて、
また戻んないといけないから……
いろいろ頼めなくてごめん」

「いやいや、全然いいっすよ。
Aちゃんどうする？」



そう聞かれて、
直人さんはウーロン茶なのにと迷ったけど
素面では話をする勇気が出なくて
結局いつものジントニックを頼んだ。

注文を受けた隆二くんが離れていって、
途端に沈黙が落ちる。

何を話せばいいのかと思い悩んでいると
直人さんが口火を切ってくれた。

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