FitnessClub JSB 3

どっちかなんて選べない ページ6

「ほんで？どっちがいいん」

「ええー……」



もし臣くんと付き合ったら。

かっこよくて何でもできる臣くんは、
非の打ち所がない。

なんせダイエット中の私のために
わざわざ晩ごはんを作ってくれるくらい
優しいのだ。

しかもこの間バイクの後ろに乗せてもらえて、
一緒に紅葉を見て、
一緒に写真を撮って、
他愛もない話をして、とても楽しかった。

綺麗系イケメンの臣くんは目の保養にもなるし
最高の彼氏だ。



そして、もし直人さんと付き合ったら。

直人さんはひたすら優しい。

かけてくれる言葉も優しいし、
食事表を書くのが面倒だろうと
LINEのIDまで教えてくれた。

食事以外のことを送っても
律儀に返信してくれるし、
直人さんとLINEのやり取りをするのは楽しい。

普段の優しい直人さんと
レッスン中の精悍な直人さんとの
ギャップ萌えは素晴らしく、
直人さんも最高の彼氏だ。



「どっちかなんて選べない……
どっちもかっこよすぎて……」

「ふーん？モテる女は大変やな」



前も聞いたことのあるようなことを言い、
立ち上がった健二郎が
「まあオモロイから
ずっとこのままでもええけどな」と
ニヤニヤしながら去っていく。

他人事だと思って面白がって、健二郎ムカつく。
だけど。



私は臣くんのことが好きなのだろうか。

直人さんのことが好きなのだろうか。

恋愛から遠ざかりすぎていて、
今自分が誰かに好意を持つことなど
考えもしなかったけど、
確かに臣くんと直人さんには
特別な気持ちがあるような気がする。

臣くんは誰とも違う特別な人だと思ったし、
LINEで他愛もないやり取りをするのは
直人さんだけだ。





「隆二くん……
私やっぱり気が多い女なのかなぁ……」



トレーニングもそこそこに、
マドネスに来てしまった。

今臣くんは海外での撮影があるから
日本にはいなくて、しばらくマドネスで
ごはんを食べることになっているからだ。



「別に二股かけてるとかじゃないんだから
いいと思うけど？」



健二郎の言葉がきっかけで
臣くんと直人さんに対しての気持ちを
自覚したと相談すると、
隆二くんは優しい笑顔でそう答えてくれた。

やっと気付いたんだ→←どっちと付き合うつもりなん？

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