FitnessClub JSB 3

お前といられたらそれで ページ14

「じゃあ土曜はうちでまったりする？」

「まったり……」

「ん。映画見てもいいし、
こうやってダラダラしててもいいし。
出かける気分じゃないんだろ？」



臣くんは、声もかっこいい。

ちょっと鼻にかかったような、
よく響く低めの声。

抱きしめられて、頭を撫でられて、
こうして臣くんの声を聞いていると
とても幸せな気持ちになれる。

だけど、臣くんにこんなに甘えていて
いいのだろうか。

私は臣くんと直人さんとの間で
揺れているというのに。



「臣くんはいいの、どこも行かなくて」

「いいよ。なんでも。
お前といられたらそれで」



臣くんの言葉に、胸がきゅんとする。

恋愛するって、こんな感じだったかな。

嬉しいような、泣きたくなるような、
こんな気持ちになるものだったかな。

ブランクがありすぎて分からない。

けど、ずっとこうしていたいと思う。

他の人とじゃなく、臣くんと。



「それって、好きってことなのかな……」

「……は？」



しまった。

リラックスしすぎて
思っていたことを
ポロっと口に出してしまった。

こんなこと突然言われても
臣くんには意味が分からないだろう。

「なんでもない」と言おうとしたら
急にぎゅうっと強く抱きしめられて、
苦しくなる。



「んー、臣くん、」

「……好きだよ。
好きだから、一緒にいられたら
それだけでいい」



切なげな声が、耳元で聞こえた。

いきなりそんなことを言われて
パニックになりかけたけど、
私が放った言葉のせいだと気づく。

「お前といられたらそれで」という
臣くんの言葉の後に
「それって、好きってことなのかな」と
言ってしまったから、
『臣くんは私のことを好きなのか』と
尋ねているように思われたに違いない。

実際は自分の気持ちについて
ポロっとこぼしてしまっただけだったのに。

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