紫の一匹狼 (ページ16)

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親友にならない理由ページ16

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side：松村

俺には親友は2人だけ。

だけど申請中の人が1人。

『ねーA？』

「んー？」

『そろそろ俺の親友になる気は…』

「ないけど？」

逆になんでなるの？みたいな目でみてくる。

いや俺の方から申請してんのよ？

こんなの異例中の異例なのよ？

『…ちなみにこの間のドラマみてくれた？』

「え、みた」

「あのシーンの声のトーンの落とし方と目線のやり方が…」

でも俺のことが嫌いって訳では無いらしく、
出演するものは全て見てくれているらしい。

「ほんと尊敬するし私の目標だわぁ…うん」

・

『そんな尊敬する人から親友になろって言われてるのよ？』

『普通断るかね…』

ジ「まあAのことだからなにか考えでもあんじゃないのー？」

お、焼けた〜っと肉を目の前に楽しそうなジェシー。

ジェシーとAはよくサシで飯に行く仲で
なんだか丁度いい距離を保ってる。

ジ「北斗はなんでそんなに親友になって欲しいわけなの？」

『だってもっと仲を深めたいしサシ飯も行きたいじゃない？』

ジ「えっ、2人サシ飯行ったことないの？」

『サシ飯行ったら勝手に親友認定されそうだってさ』

ジ「ははっ笑Aもよく考えるね笑」

『…俺もずっと見てきたんだよ、この目でさ』

『ずっと尊敬してるけど…やっぱ寂しいじゃない』

酒が少し回っているのか本音をそこらに落としてしまう。

ちびちびと肉を食べていると個室のドアがそろっと開く。

まだなにか注文してたかと記憶を辿るけど思い当たらなくて。

ジ「やーっときた、仕事押してたの？」

「監督の熱弁始まっちゃってね笑」

「んで、なにがそんな寂しいの？北斗さんはさ」

顔を横にむけるとさっきまで話してた顔が。

鞄を置いて、何頼もっかな〜って楽しそうなA
の顔があった。

「なに、なんかついてるー？」

メニューを見たまま問いかけるAに、正面で楽しそうに笑うジェシー。

『いや、別に……』

『…なんでここに？』

「ジェシーから誘われたからだけど…言ってないの？」

ジ「ごめんごめん、言い忘れてた」

「ほんともう…」

状況が理解できないままただ、ジェシーがお皿に
取ってくれる肉を食べていた。