不思議な力と魚達【Fischer's】

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痛みが引いていく。


目から流れていた水が止まる。


上手く吸えていなかった空気が、体に入っていく。


心から、ドス黒い感情が消えていくような、そんな感覚だった。


貴「……ん…シ、シルク…？」


私の意思で、声を発する。


ｼﾙｸ「A…！」


体を離すと、肩を掴まれて、皆に見つめられる。


少し…あぁ、多分お風呂の後だ。そこからの記憶が…はっきりしない。


ただ、「大好き」という、温かい言葉だけが、頭に残っていた。


まだボーッとしてる…


瞳を動かして、時計を見つける。


その針は、11時50分を指していた。


「…あれ……？」


数回瞬きをして、皆の顔を見る。


少しずつ、頭が回り始めた。


力が、自分の力で抑えられているのが分かる。


制御が…出来ている…


そう実感すると、嬉しさと感謝で胸がいっぱいになる。


思わず、笑みが溢れた。


「ありがとう…」


皆の笑顔を、久しぶりに見た気がする。


「大好きだよ。」


私も、久しぶりに心から笑った。

　

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