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side_Kyomoto
｢春風のように 去る君を…｣
眠っている北斗の手を握りながら、俺はずっと歌を
口ずさんでいた。
すると、北斗の指が微かに動く。
｢…引き留める術はないの?｣
北斗は目を瞑りながら、優しくゆっくりと歌った。
俺も北斗に合わせて、少しゆっくりめに歌う。
｢｢愛してるよ｣｣
最後は綺麗に北斗と声が揃う。
｢完璧じゃん、北斗｣
｢どれだけ聞いてきたと思ってんの?｣
そうやって北斗と笑い合える今が、俺にはとても
輝いて見えた。
でも、だからといって、過去がなかったことになる
訳では無い。
北斗に大怪我をさせてしまったという事実に、
変わりはないんだ。
｢ごめんね北斗、こんなことになって…｣
｢…俺、長い夢を見てた｣
北斗は唐突に、そんなことを言いだした。
｢そこは何も見えない、暗闇で…
俺は、どうしようもなくて｣
｢…うん｣
｢でもね、ずっと聞こえてた。
大我が、俺の名前を呼びながら…泣いてる声が｣
｢俺が?｣
｢そう。
だから俺は、大我の声がする方にずっと歩いてるの｣
｢そっか…｣
｢大我に会いたい…って思いながら、ひたすら。
じゃないと、死んじゃう気がして｣
｢…死ぬ?｣
｢うん。その時は、大我が死んじゃうと思ってた。
けど、たぶんそれは俺の方だったのかもしれない…
って、今は思う｣
｢…そう、なのかな?｣
｢…ありがとう、大我｣
｢…え?｣
｢大我が名前呼んでくれてなかったら俺…
もう、目覚めなかったと思うんだ｣
｢…夢の話でしょ?｣
｢…まぁ、そうだけど｣
そんな少し不思議な事を、北斗は真面目な顔で
淡々と話した。
俺はよくわかんなかったけど、北斗の意識がない
時に、何度も北斗の名前を呼んでたことが伝わって
いたような気がして、少し救われた気持ちなった。
｢大我｣
｢なに?｣
｢キスして?｣
北斗は赤ん坊が母親に甘えるような、可愛らしい
顔で俺を見つめる。
そして俺は素直に北斗の要求に応えて唇に
そっと触れた。
久しぶりの北斗の唇の感触に、思わず涙が滲む。
ちょっとだけ触れる感じの優しいキスを、
俺らは永遠に離さないつもりかと思ってしまうほど
長い時間続けていた。
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コロ - もう、、、好きです( ；∀；) (2020年6月6日 19時) (
レス) id: 813d843498 (このIDを非表示/違反報告)
ジャス民茉莉花.@ナナイロノマホウ 。*(プロフ) - 多文、失礼致しました...！新作も読ませて頂いております！更新、ゆっくりで宜しいので楽しみに待っております♪ (2019年6月6日 17時) (レス) id: 41f8bed30c (このIDを非表示/違反報告)
ジャス民茉莉花.@ナナイロノマホウ 。*(プロフ) - きょもほくは、私の知るカップルの中で一番“美しい”カップルだと思っております。無痛症、患われてる方は本当に大変な思いをされていますよね...。あまり馴染みのない病かもしれませんが、症状等知る事が出来て良かったです。 (2019年6月6日 17時) (レス) id: 41f8bed30c (このIDを非表示/違反報告)
ジャス民茉莉花.@ナナイロノマホウ 。*(プロフ) - さいかさんらしい、丁寧で知的な文章に引き込まれる様に読み進めていたら、いつの間にか終わりにまで到達していてビックリしました笑 本当に面白い作品ってそういう事多いんですよね...。 (2019年6月6日 17時) (レス) id: 41f8bed30c (このIDを非表示/違反報告)
ジャス民茉莉花.@ナナイロノマホウ 。*(プロフ) - 初めまして！このお話読ませて頂きましたが、めちゃくちゃ面白かったです...！さいかさんの作品大好きで、オススメに出てきてたまたま開いた作品がまさかのさいかさんのデビュー作だったと知った時は...。衝撃的でした笑 (2019年6月6日 17時) (レス) id: 41f8bed30c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2019年2月3日 23時
