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詰所への帰路の途中、居酒屋の女将に店主を預けた。
女将に熱失神している事と応急処置、そして後程様子を見に来ると伝え店を出る。
紅丸は拘束具を全て外すことはせず、足元のみ外してやるとAであろう女は雛鳥の様に紅丸の後ろを付いて歩いてきた。
詰所までの少し空いた道のりはとても気まずいものだった。
「……お前名前は？」
「…」
「アイツとどんな関係なんだ？」
「…」
「…Aだよな？」
「…」
紅丸の質問にうんともすんとも答えず、ただ後ろを付いてきているだけだった。
あの伝導者らしき中華服の男が最後に言った"預けといてやるよ"の言葉通り大人しくしている様子だった。
「詰所についたら全部話してもらうからな。」
彼女が一向に変わらない様子なので質問する事を諦め、隣を歩く。
そうする事5分、もう一つ二つ行けば詰所だという所で紅丸を呼び止める声がした。
「紅丸ちゃん、その子どうしたんだい？」
いつもの様に大福を作り過ぎたと大きな風呂敷を抱えたお婆さんだった。
「あー、まぁ拾ったんだよ、詰所で面倒見るつもりだ。………また作り過ぎたのかよ…要らねぇっつの。」
「そう言って貰ってくれるのあたしゃぁ嬉しいんだよ、紅丸ちゃん。」
それじゃあね、と手を振り自分の家へと入っていくお婆さんを見届け再び二人は歩き出した。
Aは何か考え込むように首を傾げていた。
しかし突然ぽてぽてと歩いていたAが立ち止まり俯く。
そしてここから動きたくないとばかりにしゃがみこんだ。
「ほら、もうすぐそこだから歩け。」
紅丸がAの腕を引くと彼女の拘束具が簡単に千切れ服の首元が焦げる。
そして焦げ、破れた服の中から赤白い火花がこれでもかと飛び散った。
「A!?」
瞬時に発火した火の操作をし引火しないように散らす。
Aの前に同じようにしゃがみこみそっと顔を上げさせると、Aの表情は強ばっていた。
再会してAの初めての感情表現に紅丸は不安を覚える。
「…何が怖ぇんだ？大丈夫だ、あそこにゃ紺炉もいる。伝導者も勘だけどよ、しばらく来ない。」
その名前を呼ぶとAの体は震え始めた。
まるで恐怖の対象であるかの様に。
「……お前、まさか」
紅丸の腕を逃れる様に体を捩じるAを力でなんとか押さえ込み抱えるとAは暴れ始めた。
「俺らの事、何か悪い方に暗示掛けられてんだな。」
ぼんやりとしていた目はしっかりと見開かれ、紅丸を睨みつけていた。
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初恋もふもふ - さはらさん» コメントありがとうございます！少し改行してみました。これ以上改行すると小説の雰囲気が崩れてしまうと思うので読みにくかったら申し訳ないです…( ´･ω･`) (2019年10月13日 23時) (
レス) id: 2eca31752b (このIDを非表示/違反報告)
さはら - 改行されているともう少し読みやすい気がします！これからも、頑張ってください！応援しています (2019年10月13日 17時) (レス) id: 39ab85e727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：初恋もふもふ | 作成日時：2019年10月11日 23時
