1st kiss (6) ym×cn ページ12
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2歲上の涼介くんは僕のおうちの左斜め前に住んでいた。
涼介くんは昔から世話焼きで、近所の子を近くの公園に集めてお勉強会をしたり探検隊ごっこをしたりして、とにかくみんな涼介くんのことが好きだった。
僕も、恥ずかしくてみんなみたいに直接好きなんて言えなかったけど、涼介くんのことが大好きだ。
それは16歳になった今でも変わらない。
「ゆうりー?そう言えば、山田さんちの息子さん、えっと…名前は、」
「涼介くん?」
「そうそう。涼介くんねぇ、都内の大学に進学することが決まって来週ここからいなくなるみたいよ。」
母親の声に反応して聴いていた音楽を止める。
「へー、そうなんだ。」
「あんた、小学生の時お世話になったんだから挨拶くらいしに行きなさいよ。」
「でも、涼介くんきっと忘れてるよ、昔のことなんか、」
「忘れてるとかそういうことはあってもお世話になった人に挨拶するのは礼儀なんだから。ちゃんと引っ越す前にお礼言っときなさいね?」
母親はそれだけ言って僕の部屋から出ていった。
そっか、涼介くん上京しちゃうんだなぁ。
頭良かったもんなぁ。
いまわからないところ聞きにいったら教えてくれるのかなぁ。
ぽいっと、手に持っていたシャーペンを投げてセンチメンタルに天井を見あげる。
涼介くんに対する僕の“好き”が周りの“好き”と違うことは小学校高学年の時には気づいていた。
その頃になると涼介くんは中学生で、小学生の僕には格段に大人に見えたし公園に来る回数がだんだんと減っていた。
涼介くんが公園にあまりにも来ないから心配してみんなで涼介くんのおうちのインターフォンを押しにいったこともある。
でもドアを開けるのはいつも涼介くんのお母さんで「涼介は部活が忙しくて帰ってきてないの、ごめんね。」と眉を下げながらいつも謝っていた。
僕らが中学生になると誰も公園に行かなくなった。
涼介くんとは同じ中学校だし話しかけることも出来たのに、彼はいつも僕達を見ると怪訝な顔をして走り去っていったから中学生になってから話すことなんてなかった。
今思えば中学生なんて思春期真っ只中だし少し素っ気なくなるのは当然だったな。
でも涼介くんに彼女が出来たという事実を聞かされた時は辛くて心臓が握りつぶされそうで部屋に帰ってから一人で泣いた。
僕が男である以上涼介くんのことを好きになっちゃいけないんだって思い知らされたみたいで辛かった。
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作者名:濃いピンク | 作成日時:2018年6月18日 21時