初めてのちゅー。（JUMP×JUMP） (ページ8)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:21,825 hit

・ページ8

.

そう尋ねると、

かくん、
と首が動く。

「……ごめんね、にーちゃん。
気持ち悪いよね」

「、いや……」

なんて返すか、

たくさんの言葉が溢れ出てくるのに、
それは泡のように、声に出す前に消えてしまう。

「でも、にーちゃんのこと、本気で好きなんだ。

……好きになってなんて言わないから。
このままずっと、好きでいていい？」

まんまるの目にいっぱいの涙を溜めて、
いまにも零れ落ちそうなくらい。

顔を真っ赤にして、

お風呂上がりの
しっとりとしている髪の毛が震える。

健気な彼は、
妙に色っぽい。

「……っ」

俺たちは、必然的に、無言になった。

それに耐えきれなくなったのか、
首にかかったタオルで涙を拭いて

「……、おやすみ」

そういって立ち上がった大貴を

あの、艶やかな黒髪から
ふわりと香るシャンプーを掴むように。

「……に、ーちゃん？」
「宏太」

「え、っ？」

大貴の左手首を掴んだ。

「宏太、って呼べよ」

「にーちゃん……、なにふざけてんの」

くくっ、と薄く乾いた声で笑うと

手を振りほどいて
おやすみー
と、いつものテンションで手を振ってくる。

「大貴のせいでしょ、？」

「……なにが」

すっとぼけた顔してるから、
無防備な顔してるから、

「……、ぅん！」

ほうら、俺、しらないよ。
こんなに綺麗な唇。

柔らかくって、優しい。

「大貴にときめくとか、俺、しらない」

……かくん、

と、大貴の膝から力が抜けて
座り込んでしまった。

「……大貴？」

カタカタと、肩が震えて
か細い声が聞こえてきたと思ったら。

「……ふぁ、ふぁ」

「ふぁ？」

ぼぼぼぼっ、
と火がついたように赤くなる大貴。

「ファースト、キス……！」

ムードもなにもかもを壊すような、
夜には近所迷惑な声で、そういった大貴。そして今さら恥ずかしくなったのか、俺の腕にふわ、と力なく抱きついた。

「……むぅ、コーヒーの味した」

「そりゃ、直前に飲んだから」

「俺、コーヒー嫌い」

俺の腕にしがみつきながら、
ぶつぶつ文句を言う彼。

「もう2度とキスしねーよ？」

「……それは、イヤ！」

……じゃ、もう一度。

甘い甘いココアの味のするキスを。

「……ん、」

いただきます。

_____Fin.

麻白と申します。
はじめての企画参加でドキドキしながらも、楽しく書けました。ありがとうございました！