初めてを経験中2

57 ページ7

・









「中島ってさ…」



『うん』



「……モテるんだね」









沈黙を破った小さな声は俯いたままで、

やっと聞こえるくらい。









『……そう、かな』



「よくあるの⁇あういうの」



『んーまあ』



「そうなんだ」









正直よく告白されるけど、

別に今はそういうの求めてなくて

友達がいれば充分。









そう思ってずっと断ってきた。









でも今回はなんか違う気がして、

だけどそれがなんなのかは自分でもわからない。









ただ、いつもとはちょっと違う断り方をしたんだ。









「なんで断るの⁇付き合わないの⁇いつも」



『なんでだろーね、俺もわかんないや』



「……女の子、嫌いだから⁇」









なんでそう思ったんだろう。









そう言った七瀬の声は、

ちょっとだけ不安そうだった。









『嫌いじゃねーよ。

むしろ好きだよ、可愛いし笑



でもまあすぐ泣くのは

ちょっと面倒くさいなーって思うけど』



「むしろ好きとか女好きか笑」



『いいじゃん、

チヤホヤされんの嫌いじゃねえもん笑』



「……ナルシスト」



『るせ笑』









「女の子嫌いなんだと思ってた」



『なんで⁇』



「だって始業式の日、

騒ぐ女の子にウンザリしてそうだったから」









ああ、あれか笑









『あれはさ、知らない子ばっかなのに、

一方認知がやだっただけ笑』



「なんだ、そうだったんだ笑」









.









.









「……あたしは、男の子苦手」









突然静かな声でそんなこというから

どう返していいかわからなくなる。









「………理由、聞いたでしょ⁇風磨に」



『……ああ』









誘拐のこと聞いてからずっと、

ほんとは俺も嫌われてんじゃないか

って思ってた。









もともと仲良くしようとしたの俺だし。









もしそうなら、

サッカー無理やり誘ったことも

2人きりになったことも









ほんとはすごい怖がらせてたんじゃないかって

後悔してたんだ。

58→←56

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す