初めてを経験中2

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ガラッ









教室のドアを開くと一気に騒がしい声が放たれる。
まるで1か月以上のブランクなんてなかったかのように
クラスメイト達が楽しそうに話したり笑ったり









俺が真っ直ぐに視線を向けたのは、部屋の真ん中の空席









『まだ来てない、か』









嬉しいような、寂しいような、
よくわからない感情を抱えて教室に踏み入れる。









「誰が来てないの？」






『えっ、う、わ…！』









踏み出した途端、俺の肩越しにひょっこり顔を覗かせる人物









「誰かと待ち合わせでもしてたの？」






『な、七瀬…』






「おはよー中島」









昨日の俺の前で泣いていたのは別人だったのだろうか。
目の前でにっこり無邪気に微笑むのは間違いなく七瀬で









俺のことを一晩中悩ませてた張本人。









「なんか顔暗すぎてオバケみたいなんだけど、こわ」









呆然とする俺を差し置いて、とっとと教室に入っていく。









風磨といい七瀬といい、なんの変化もなさすぎて怖い。
いや、むしろこれはいいことなのか？









『七瀬っ』






「なに？」









俺の声でまた振り向いた君の顔を見て、やっぱり可愛いなんて思ってしまう。









思った以上に声が大きかったのか、
気づいたらクラスの半分くらいの視線を集めてしまっていた。









『…ちょっときて』









あれほど2人きりになりたくない、避けたい、会いたくないとすら思っていたのに
気付いたら腕を掴んで教室から連れ出していた。

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