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『七瀬』
名前を呼ぶと、君はゆっくり顔をあげた。
「…っ、怖かった…」
俺の目を見た途端に
ぎゅって抱きついてきて、
静かに胸の中で泣き始めた。
『大丈夫、俺がいるから』
ぎこちなく頭を撫でて
余裕そうにそんなこと言ってるけど
頭の中では
抱きしめたい。
キスしたい。
俺でいっぱいにしたい。
そんな思いと葛藤してる。
俺の胸の中にいる君に
この心臓の音が
少しでも伝わればいいのに。
.
…だめだ、おかしくなりそう。
もう少し…もう少しで自分を抑えられなくなる。
そっと離れると君は俯いたままで
そのうちに背を向ける。
『帰ろ。送ってく』
やっと2人になれた。
本当は俺が安心させてあげたいよ⁇
でも、今は君から離れないと
俺がおかしくなる。
そう言って歩き出したそのとき
.
.
キュ…
着ていたシャツの裾を七瀬が掴んで足が止まった。
「もう少しだけ…そばにいて…っ⁇」
か細い震えた声が後ろから聞こえて
自分でもわかるくらい、
心臓の音が早くなっていく。
シャツの裾を掴む手を握って
ゆっくり振り返ると
俺を見上げる七瀬の瞳は
うるうると涙で溢れていて
何度も泣いたまつげは
涙に濡れて月明かりでキラキラと輝く。
その瞳を見た瞬間、
すっと吸い込まれるように
俺の理性は絶たれてしまった。
握っていた手に指を絡ませ
もう片方の手を頬に添えて
.
.
.
ゆっくり顔を近づけ、
キスをした。
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葵 - とっても続きが気になります!希さんの作品全部読みました(*^^*)とくにこの作品が大好きで続きが楽しみです♪ (2016年8月15日 3時) (レス) id: 1aafbd4d49 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - はじめまして。この作品を読んですごく面白かったので、続けて更新してほしいです。 (2015年10月11日 8時) (レス) id: c0976e2628 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - はじめまして。この作品を読んですごく面白かったので、続けて更新してほしいです。 (2015年10月11日 8時) (レス) id: c0976e2628 (このIDを非表示/違反報告)
やばすてぃっくパイナポー(プロフ) - はじめまして!今日この作品を初めて見つけて、読み始めたら止まらなくなっていました。「初めてを経験中」すごく素敵な作品でとても好きです。お忙しいと思いますが、ぜひ完結まで頑張って欲しいです!受験も占ツクも応援しています! (2015年10月4日 22時) (レス) id: 90f2ab130f (このIDを非表示/違反報告)
MIINA(プロフ) - 本当に素敵な話でとても楽しく読ませていただいてました。更新がなくてもまた復活すればいいなぁと思っていたお話なので再開していただけるととても嬉しいです!続けていただけるようでしたらこれからも更新頑張ってください!応援してます。 (2015年9月28日 19時) (レス) id: f87713c352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:希 | 作成日時:2014年7月10日 20時