検索窓
今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:26,151 hit

中庭で君と / 御影密 ページ30

「ひ〜そ〜か〜!!」

「ぐぅ…」

くそぅ、気持ちよさそうな顔で眠ってるし。
今日は珍しくお互いにバイトが休みだから、デートできると思ってたのに。

「久々に会えたのに寝てるなんて酷いじゃん…」

今は談話室にふたりきり。
皆さんが気を利かせてくれたみたい。

「ん…A…?」

「あ、起きた?」

彼は目を擦りながら起き上がり私の横に座る。

「ねぇひそか、」

「なに?」

私がプレゼントしたふわふわのクッションを抱きしめた彼は、私の問いかけに首をこてんと傾ける。

「…デートしたい。」

「いつ?」
「今から」
間髪入れずにそう返すと、密は一瞬眉をひそめた。

「Aと一緒にいるのは好きだけど、出かけるのは嫌…」
それに眠いし、と付け加える。

やっぱりか…
駄目だ、ここではいそうですか、なんて引き下がったら一生デート行けない!!

「外でたら目覚めるかも!!行こう?」

「んぅ…」

一応起き上がってはくれたのだけれど、お気に入りの抱き枕を離す気配は無い。

「ひ〜そ〜か〜!」

もう1度彼の名前を呼んで体を揺する。


「A、」

いつものおっとりした声とは違う、少し低い声で名前を呼ばれてドキッとする。

「なに、」

「俺がなんで出かけるの嫌いか分かる?」

分からない、と言うように私は首を横に振る。
それを見た密は、少しだけ目を細めて私に手を伸ばしてきた。
私はなんとなく身構えてしまい、とっさに目を閉じる。

「Aが可愛いから。」

伸びてきた手は、私の髪を掬う。
私は驚いて目を見開いてしまった。

「え、どういうこと…?」

大好きな彼氏から可愛いって言われたのはすごく嬉しいのだけど、言っている意味はよく分からない。
私の髪を掬っていた手は、私の頬を優しく触る。
頬に熱が集中するのが分かった。

「Aが可愛いから他のやつにとられるの、いやだ。」

「っえ、」

理由が可愛すぎてもう何も言えない。言葉にできなくて、歯切れの悪い変なの声しか出ない。
そんな私を見て密はぎゅうっと抱きついてきた。

「A…」

▽→←▽



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
33人がお気に入り
設定タグ:A3 , A3!
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いとゆ x他6人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年9月30日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。