俺らの初デート / 高遠丞 ページ26
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始まりは真澄の一言だった…らしい。
というのも、俺が寮に帰るなりキッと睨みつけて自室に入っていった真澄と、さっきからウロウロと談話室を歩き回っているAから聞いた話を繋ぎ合わせただけである。詳しい事は分からない。
「だから、俺は別に大丈夫だと…」
「いや、薄々自分でも分かってはいたの!
昨日なんか寝る前に臣くんの作ってくれたお菓子食べちゃったし!!」
俺が帰ってきてから約15分、ずっとこれの繰り返しだ。
簡単に説明すると 真澄がAに「太った?」と何とも失礼なことを言い、Aは反発。
体重計を引っ張り出したものの乗る決心がつかないのだとか。
「いいなあ、丞は沢山食べるのに全く太らないもん。」
「まあ、普段から運動してるからな。」
それから稽古も、と付け加えたところで良いことを思いついた。
「そうだ、明日から毎朝俺と一緒にランニングでも行くか」
「あ!それは良い考え、ザッツライ!」
俺が容易に提案してしまったために簡単にノッてきたAだが、実のところ俺とA、2人で出かけたことは1度もない。
__これでも一応、付き合っている。
必要な物を伝え、朝6時の約束を取り付ける。
少し興奮気味なAとは裏腹、俺は緊張でどうにかなりそうだ。
寮という同じ屋根の下で暮らしているせいか お互いの部屋を行き来したり2人で過ごしたりという事には慣れてはいるが、外出となると話が変わってくる。
明日は所謂初デート、というやつなのだろうか。
それなら映画だとか遊園地だとか、他の場所の方がAは嬉しいだろうに。
俺から誘っておいて今更後悔した。
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