▽ ページ14
.
「Aちゃん!こっち向いて〜!!」
パンケーキが運ばれてくるや否や、カズくんのインステ欲が爆発したらしくずっと写真を撮っている
正直、写真を撮られることに慣れていない私は戸惑いを隠せない
「あの、カズくん……」
「なに〜?」
「そんなに撮られると恥ずかしいんだけ、ど…」
「えー?!Aちゃんチョー可愛いよ?!みんなに自慢したいじゃん、俺の彼女こんなに可愛いんだよーって!」
笑顔でそんな事を言われてしまうと、こっちも何も言えなくなってしまう
というより、さっきより恥ずかしさが増してしまった
でも、違うんだ
私が伝えたいことはそこじゃない
「カズくん、あのね…」
彼のスマホを持っている手をそっと握り目を合わす
「写真ばっかり撮ってないで、ちゃんとカズくんの目で見てほしいよ」
スマホの画面越しじゃなくて、直接私を見て
「思い出は、カズくんの頭の中にだけ残ればいいんだ」
だから、写真を撮って思い出を残すことに囚われず
今この瞬間を全身で感じて、体に残してほしい
「今日だけは、SNS禁止…なんて、ね?」
カズくんはポカンとしていて、さすがにちょっとワガママ言いすぎたかなと私も少し焦り始めた
「あ、ごめんカズく…」
「Aちゃんごめん、俺…デートが嬉しすぎて舞い上がってた」
申し訳なさそうなカズくんの顔を見てハッとした
違うの、そんな顔をさせたかったんじゃないの
「違うの、私こそごめんなさ…」
「謝らないで?俺、Aちゃんの嫌がることしたくないよ?我慢しないで言ってくれて嬉しい、ありがと」
「カズくん…」
「それに、こんなに可愛いAちゃんは俺が独り占めしちゃうもんねー!えいっ!」
イタズラっ子のような笑顔でカズくんはパンケーキにたっぷりと乗っていた生クリームを私の鼻に付けた
「うわっ!」
「あはは!カワイー!!」
「もー!!恥ずかしじゃん…」
「Aちゃん、笑ってて?今日は笑顔で最高の思い出作ろうね」
「うん!」
私たちの初めてのデートは、始まったばかり
.
33人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ