ep189 ページ25
―貴女side―
それから1時間後――
「見つけたぞ!ビンゴだ、
紅茶を味わっていた私はそれを聞いて弾かれるように立ち上がり、液晶に映った監視映像を見た。
「……政府の系列銀行ですか」
「如何にも鼠が選びそうな性根の悪い場所だ」
溜息交じりに云った私に、苦笑交じりに返すフィッツジェラルド。
政府系列の銀行となれば警備は云わずもがな強固。
「此処に忍び込むのか……」
思わず苦い顔をする敦を横目に見る。
彼が渋るのも致し方ない。いくら探偵社の無実を晴らすためとは云え、やることは銀行破りに他ならないのだから。
“正しいことをしろ”と迫られて生きてきた彼にとっては苦渋以外の何物でもないだろう。
だが、勿論……そんな甘いことを云っていられる状況ではない。
「敦君、君達がこれからやろうとしていることは銀行破りだ。そこにどんな事情があろうとそれ以上でもそれ以下でもない」
液晶を見ていた敦君が眉を歪ませて俯いた。
「そして失敗は即ち、
探偵社復活の道は完全に閉ざされるだろう。そしてフョードルはその為の罠に手を抜かない。
「だがこの侭何もしなくたって君達は指名手配犯、銀行破りをしたところで所詮それは変わらない」
その事実は希望でもあるだろう。
「ならば、君達は如何したい」
敦君と鏡花ちゃんを目の前にそう尋ねる。
すると二人は唇を固く結んで頷いた。
「奪還さえ成功すれば道が開けるかもしれない。なら僕は……その可能性に懸ける」
「私も。やるしかないと思う」
それを聞いて些か安心する私。当事者である二人が此処で折れて仕舞えば先には進めない。
だが二人が可能性を信じて小栗虫太郎を奪還するというのならその後の展開は幾らでも変えられる。
二人が与謝野女医達と別行動をしていて本当に善かった。
「却説、後は奪還の手筈ですが……」
話を先に進めつつ、私はルイーザ・メイ・オルコットを一瞥する。
そして……
「Mr.フィッジェラルド……貴方の右腕、貸していただけますか?」
と問えば、彼は暫くじっと此方を凝視してから
「構わん。好きにしろ」
そう答えた。
652人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» お待たせいたしました!待っていてくださってありがとうございます! (10月18日 8時) (レス) id: 577991cf97 (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - 待ってましたー!ありがとうございます!これからも応援します!! (10月17日 22時) (レス) @page49 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 雪だるまさん» コメントありがとうございます!両方楽しんでいただけて何よりです!文スト原作の展開の読めなさに様子見中でした💦お待たせしますが必ず続けますのでお待ちいただけると嬉しいです! (10月3日 23時) (レス) id: a12ab69eab (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - コメント失礼します!貴方様の作品は銀魂の方も読んでいるんですが、どっちも大好きです!こっちの投稿も待ってます! (10月3日 16時) (レス) @page48 id: 34bbee5856 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 豆腐プリンさん» コメントありがとうございます!1番だなんて恐れ多いっ!番外編もありがとうございます。両者滞っておりますが原作が溜まってきましたのでそろそろ更新いたします。楽しみに待っていてくださると嬉しいです (2023年2月27日 21時) (レス) id: 2e6ffd9878 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ギラッフェ | 作成日時:2019年2月26日 19時