happIness*2-35 ページ35
(翔side)
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「はい、黒川です」
「あ、櫻井です」
「工藤さん無事ですか」
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無事……と言うのだろうか、これは。
目の前で辛そうに呼吸をするAを見つめる。
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「あぁ……なんか熱あるみたいで。ソファでぐったり」
「起きてます？」
「いや、寝てる。昨日窓辺で寝てたからなぁ……風邪かも、たぶん」
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家に風邪薬があっただろうか、と考える。
俺も彼女もどちらかというと健康な方なので、
あまりそういうものに世話にならない。
Aが頭痛薬をよく飲んでいるのは見かけるけど。
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「病院連れていけそうですか？」
「いや、どうだろう……起きればなんとか？」
「起きそうですか？」
「……無理かな」
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起きたところで病院に行くかどうかはまた別の話だ。
彼女は病院が好きではないので。
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「起きても嫌がりそうですね」
「まぁそれは……そうかも」
「薬あります？解熱剤とか」
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同じことを考えていたらしい、
おそらく病院に行く、行かないの押し問答をした経験があるんだろう、
少し呆れたような言い方だった。
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「工藤さんがよく飲んでる頭痛薬……あれも一応解熱鎮痛剤の効果があるんですけど」
「あー、それならあるかも。飲ませてみる」
「明日了承すれば、病院連れていきます」
「するかなぁ」
「説得お願いしますね」
「そんなに期待しないで」
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自分には無理だとでも言うような言い方に笑ってしまう、
結局、黒川さんも甘いのだ。
彼女の言葉に、仕方ないなぁというように息を吐いて小さく笑っていることを、
俺は知ってしまっている。
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「連絡ありがとうございました、よろしくお願いします」と言って、
その電話は切れた。
端末をその辺に置いて、もう一度、声をかけてみる。
反応はない、なんだが起こすのも可哀想になってきて、
小さくなっているAを両腕に抱えて、
起こさないようにそっと、寝室へ移動した。
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