happIness*2-3 ページ3
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そして、それから彼の帰宅時間は
日付を越えることが増えてきた。
針が頂上を指すまでは何とか起きていようと思うけれど、
それを過ぎてしまうと無理で、ベッドで先に眠ってしまう。
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翔くんが帰って来たのは、大体わかる。
ふと、意識が浮上して、じっと耳を澄ませていたら
静かに扉を閉める音やそっとリビングを歩く音が聞こえてくる。
うとうととしながら彼の音を聞いて、
そうしてしばらくした後、温かい体温が隣に潜り込んで来る瞬間を待つ時間が、
私は少し好きだった。
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今日も小さな物音で目が覚めた、
ああ、帰って来たんだな、と思う。
ゆるゆると腕を動かして枕元に置いてある携帯を手に取る、
まぶしい光に目をぎゅっとつぶった。
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日付はとっくに越している、
深夜と言える時間を表示した画面を確認して、
今日は随分遅かったんだな、と思った。
収録だろうか、それとも取材？
もしかしたら今日も、私の穴埋めの仕事だったのかもしれない。
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私は目を閉じてうとうと、としながら、そっとリビングの彼に耳を澄ませた。
鞄を置く音、コートを脱ぐ音、ごとりと携帯をテーブルの上に置く音。
シンクに行って冷蔵庫を開け、水を飲んでいる音を聞いて
この時間だとさすがにご飯はいらないかな、と思った時だった。
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着信を知らせる音が静かな夜の空気を揺らした、
私を起こすと思ったのか、慌ててそれを取りに行って通話ボタンを押したのだろう、
小さな「もしもし」という声が聞こえてくる。
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こんな時間だっていうのに、電話をしてくるなんて珍しい人がいるものだ。
よほど親しいか、彼が起きてるって知っているか、
緊急の連絡か、どれかだろう。
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うとうと、と意識が現実の世界と切り離されようとしていた。
静かな夜の空気に響く、彼の少し低い声。
ああ、私の大好きな“声”。
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「ああ、着いたよ。今日はありがとう、」
＿＿今日は？
「いや、もう寝てるよ。大丈夫」
＿＿寝てる…？私？
「ああ、うん。助かる。じゃあまた明日連絡するから」
＿＿…誰に？
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「おやすみ」
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電話口の相手に告げた彼の言葉は
私の耳にもしっかり届いて、
まるでそれが合図だったかのように、
私の意識は夢の中へ沈んでいった。
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