happIness*2-6 ページ6
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自分が泣いているのに気づいて目が覚めた。
いつの間にか、自分の体温で温かくなった布団をぎゅっと握りしめながら、
頬にそっと手をやると、涙で濡れているのが分かる。
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嫌な夢だった。
声も出せず、彼のもとにも行けず、
夢の中の私は、“おいて行かれた”。
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白い空間に、一人だけ。
背を向けた彼は、こちらに振り向きもせずに、
向こう側へ、行ってしまった、私のことなんか、忘れたみたいに。
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鼻を鳴らしながら、両手で涙をぬぐって、
ああ、水でも飲もうとリビングに出る。
そこは消したはずの灯りがついていて、
あれ、と思ったのと、空っぽの寝室から彼が出てきたのは
ほぼ同時だった。
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「、っわ」
「、」
「そっちにいたの、探したんだけど」
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探した？本当に？私のこと、さがしてくれた？
私に近づいて、彼が目を見開く。
当然だ、泣いていることに気づいたんだろう。
ああ、最悪だ。泣かないって決めていたのに。
泣いたらその分だけ、翔くんが傷ついてしまうのに。
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「なんで泣いてんの、」
「、」
「おい、」
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白い世界に、私一人だけ置いて行かないで。
声が出なくても、追いかけられなくても、私のこと、翔くんが見つけて。
手を引いて、一緒に連れて行って。
私のこと、孤独な世界に、ひとりにしないで。
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「…怖い夢でも見た？」
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大きな腕を広げて、私に近づく彼の言葉に
こくこく、と頷く。
どんな夢だったのかって聞かないのは、私が喋れないから。
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ふらふらと近づいて、ぎゅ、とその腕に抱きしめてもらう。
暖かい、大きくて大好きな腕の中。
私の頭を撫でる手も、確かにここにあって、いつも通りで。
私は甘えるみたいに、すり、と鼻を寄せて、すんと息を吸う。
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「、」
,
ああ、最悪だ。
こんなことになるなら、悪夢の中で泣き続けていたかった。
誰の匂いだろう、あなたじゃない、他の誰かの匂い。
馬鹿みたい、息が止まる。
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どんどん溢れて来る涙を、彼の大きな掌で拭ってもらって、
目を閉じてキスを強請る。
当たり前みたいに落ちて来るそれに、
まだ少しは愛されてるのかも、って、心のどこかでそんなことを思った。
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私は、彼が好きだった“私”から、
遠ざかってしまったようだった。
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