happIness*2-41 ページ41
彼の首もとに頭を預けて目を閉じたら、
はあ……とまたため息が聞こえてきて、
止めたはずの涙がまた静かにこぼれた。
.
いやだよね、好きでもない女にすり寄られて。
ねえ、ごめんなさい。
でも、どこにも行って欲しくない。
.
「寝な、起きたらきっと良くなってるよ」
「……」
.
頭を撫でてくれる優しい手。
この手がもうすぐ、私のものではなくなってしまう。
静かに響くその低い声も、
安心するこの甘い匂いも、ぎゅっと抱き締めてくれる腕も。
ぜんぶ、あの白い人のものに。
.
ああ、このまま、私の世界が終わったら。
この先起きる、辛いことなんか知らずに、
すべて終わってしまったら。
.
別れようと言われる未来が怖い、
きっと、すぐそこだ。
私が彼の傍を離れなきゃいけない未来も、
きっと、すぐそこだ。
.
好きだと言ったら、何か変わるだろうか。
好きだと言えたら、何か変わるだろうか。
……きっと、もう、なにも変わらない、変えられない。
**
……さむい、頭も痛い。
あの薬はあまり効いていないらしい、
いや、効いているからこの程度の痛みなのかもしれない。
.
喉が乾いて、ベッドサイドに置いてあるペットボトルに手を伸ばす、
寒さで手がガタガタと震えた、
力が入らずキャップが明けられない、脱力する。
.
ふらふらとベッドから降りて寝室から出る、
リビングにいると思った彼は不在だった。
……いないんだ、
分からないけど、心細くて涙が出た。
泣いてばかりだ、ほんとによくない。
.
のろのろとトイレに向かって、
またのろのろとリビングを通って寝室へ戻る。
寒い、さむい、さむい。
布団をガバリと被って身体を小さくして、
暖を取ろうとするけど、身体がぶるぶる震えてなんの意味も成さなかった。
.
ちっとも暖かくならない、
目を閉じるのに、寒さがひどくて眠れない。
しばらくじっとしていたけど、やっぱり喉が乾いて、
もう一度ペットボトルを手に取る。
さむい、のどがかわいた、てがふるえる、
.
手に取ったそれが、
ガシャンと音を立てて、床に落ちて転がった。
ああ、最悪だ、のろのろと降りてそれを拾いに行く。
僅な暖を失った身体が、寒さを訴える。
.
ふらふらする身体は、そこに戻るのも辛くて、
ぎゅっと小さくなって、震える身体を抱えていたら、
リビングと繋がる扉が開いた。
.
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