STORM* fUll of happIness 2 (ページ28)

今日:5 hit、昨日:17 hit、合計:62,662 hit

happIness*2-28 ページ28

(翔side)

.

事務所について、馴染みのある会議室で、

週刊誌の切り抜きを初めて確認した。

白黒だけど鮮明なツーショットと、それに付随する

文章をみて、俺は大きくため息をついた。

.

「これ、いつ出るんですか」

「明日の夕方……もう日付変わってるから今日か」

「櫻井、これについて何か言うことは？」

.

記事の内容を変える気はないが、

一応事務所に寄越すだけの良心はあったのだろう。

半日後には世に出ているその情報を見下ろす。

よくもまぁ、この写真１枚から詳細な嘘が思い付いたものだ。

.

「撮られたのは……迂闊でした。でもただの友人で何もありません」

「お前もいい歳だしあれこれ言わないが……よく警戒しておけ」

「すみません」

.

小言が弱いな、と思った。

いつもならもっとチクチクと言われていた……そこで気がつく。

あぁ、相手がAじゃないからか。

.

「工藤とは？どうなってる？」

「どうって……変わらずですけど」

「続いてるのか、長いなお前たちも」

.

記事の後半で、「破局済」の扱い方をされている俺たちに

興味が沸いたんだろう、上層部が少し呆れたようにそう言った。

.

「この記事に関して、事務所としては否定も肯定もしない」

「……」

「何もないならただの噂としてすぐに消えるだろう」

.

本当は、ラッキー程度に思っているはずだ。

ガセの熱愛報道、掘っても何も出てこない、

本命のAとは既に別れていることになっていて、

これで俺たちの関係を探る媒体も減るかもしれない。

.

「何か意見は？」

「特にありません、Aが守られるならそれで十分です」

「よろしい、お前もよく考えて行動するように」

.

時間をみると、深夜3:30

これからだと帰宅は外が少し明るくなった頃だろう。

.

「……帰ります？」

「あぁ～～どうしようかな。明日何時だっけ？」

「9時入りです」

「……泊まろうかな」

.

事務所に泊まる旨を伝えると、

彼は少しホッとしたように、「僕もその方がありがたいです」

と言って笑った。