happIness*2-12 ページ12
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素肌で触れるシーツは冷たくて、
素肌を滑る指がくすぐったくて、思わずふるりと身震いをした。
彼の唇が私のそれに寄せられて、長いまつ毛が伏せられる。
彼が羽織っていたパーカーにそっと手を掛ける、
するりと抵抗もなく脱がせられたそれに、やっぱり彼は少し笑って、
悔しくて、ぎゅ、と薄いシャツ越しの腰に腕を回して抱き着いた。
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「っは、かわい、」
「、」
「Aが1番、かわいい」
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いちばん。
誰と比べて、彼はそう言うんだろう。
私はずっと、この先も、あなたの1番なんだろうか。
私があなたの1番じゃなくなった時、私は私じゃ生きていけないかもしれない。
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「、」
「ん？」
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すき、と口を小さく動かした。
声は出ない、彼は聞き返すように首をかしげて、
もう一度、と息を吸ったのと同時に、無機質な音が暗闇に響いた。
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「、」
「…」
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音にびっくりして身体を震わせた私と、
その出所に納得したような顔をして、床を見る彼。
私がさっき脱がせて落とした、黒いパーカーからだった。
鳴りやまないそれに、翔くんは少し息を吐いて、腕を伸ばしてそれを拾い上げると、
ポケットの中から端末を取り出して、ぎゅ、と唇を少しだけ噛んだ。
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「ちょっとごめん、」
「、」
「待ってて」
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額に唇を落として、彼はベッドから降りた。
音を立てて光る端末を操作して、耳に当て、
もしもし、と言いながら寝室の扉を開ける。
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「いや、全然大丈夫」
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そういって出て行った彼の顔が一瞬、リビングの光でよく見えた。
柔らかく笑う顔に、喉の奥がつっかえたみたいに、息ができない。
泣いちゃ、だめだ。
待ってて、と彼は言ったんだから、泣いていたら心配されてしまう。
私が一番かわいいと言った。今日の彼の1番は私ってことだ。
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掛け布団を引っ張って、口元まで覆う。
彼が戻ってきて、私を見下ろしたら、伝えるのだ。
「好き」だって。
口を動かして、あなたのことが好きだって。
声が出なくても、目をみたらきっとわかってくれるだろう。
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息を潜めて、ぐるぐるとそんなことを考える。
電話の相手が誰かとか、どんな話をしているのかとか、
そんなこと気にしたら、絶対良くない方向に考えて自爆してしまうことくらい、
自分にだって分かっていた。
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