happIness*1-17 ページ17
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「ねー今日の意地悪したでしょ」
「今日？…なんかあったっけ」
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その日一足早く帰宅してリビングにいた彼に
後から帰ってきた私は予定通り抗議した。
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「……それはもっと意地悪」
「だからなんの話…」
「…好きなところのはなし」
「ああ」
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ぱちぱちと大きな目で瞬きをして私の顔を見た後
それが面白いというようにふは、と翔くんが笑う。
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「なんで拗ねてんの(笑)？…こっちおいで」
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両手を広げられて、ふらふらと誘われるみたいにその腕に抱きこまれる私は
彼の思い通りに動かされている。
抗議の意味を込めてぎゅうぎゅうと抱き着いてみるけど、
翔くんは楽しそうに笑うだけで、完全に一枚上手だった。
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「ほんとのことだし、俺Aの声好きだよ」
「せめて顔とかにしてほしかった…」
「顔がよくて声がダメな理由なに(笑)」
「気持ちの問題…」
「難しいなあ(笑)」
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彼の首元に顔を埋めてもごもごと喋る、
翔くんはゆらゆらと身体を左右に揺らしながら余裕そうだ。
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「こうやって喋ってる声も好きだし、嵐で歌ってる声も好きだよ」
「…、」
「役で歌ってる時の声も新鮮で好き」
「、」
「あとはね」
「もうやめて…」
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絶対面白がってる、彼の声のトーンからそれは伝わる。
ちょっとしたオモチャにされていて、仕返しのつもりでぎゅ、と背中をつまむと
いて、と言われたけどそれすらも楽しそうだ。
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「じゃあ、俺の好きなところは？」
「…酔ってる？」
「素面だって言ったら？」
「ちょっと引く」
「引くなよ」
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きっと酔ってなんかなくて、恥ずかしがる私のために
同じ条件を提示してお相子にしてくれるつもりなんだろうなぁと察する、
彼はそういうことを当たり前のようにしてくれる人だ。
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「翔くんの、好きなところは」
「うん」
「…優しい所」
「随分アバウトですね」
「あとは、えっと」
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抱き着いていた身体を離して、
大きな目を覗き込むように見つめる、当たり前のように私が映っていて
ああなんて幸せなんだろうと思った。
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「…キスが上手なところ」
「それAも微妙に恥ずかしいけど大丈夫？」
「…大丈夫じゃない」
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小さく首を横に振ると目を優しく細めて
彼はいつも通りのキスをくれた。
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それを甘んじて受けながら
好きな所なんて“全部”に決まってるじゃないと思う私は
やっぱり彼の掌の上で踊らされているに違いない。
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