chapter 19 ページ26
.
「わ、まじか‥‥」
シルバーのタキシードを見に纏った優太は、目を丸くして口元に手を当てている。
こちらとしては雑誌の中で散々見て来た姿だったから、流石だなぁ、着こなすなぁ、という気持ちだった。
それよりもこの気恥ずかしさったらない。
仕事が忙しくてほとんどの決め事に参加出来なかった優太。
私がドレスを選ぶときもいつも奈子について来てもらっていたし、前撮りではなく後撮りで予定を立てたので、優太は今日私のドレス姿を目にした訳だけど。
「いや、何か言ってよ、他に」
「ちょ、ちょちょちょっと待って」
「なに」
「語彙が追いつかない」
やべー、とこの日にそぐわない焦りようを見てこちらも不安になる。
あんまり似合ってない？
やっぱり前に優太が映画で共演した女優さんと同じ形のドレスにするべきだったかな。
不安になって着付けをしてくれたスタッフさんの方を見るけれど、ニコニコとしているだけ。
「すげー似合ってる、どうしよう」
「本当？」
「マジで、やばい。わー、こんな、えー、すごいな」
「本当に本当？」
「や、本当だって！俺今軽くパニックだから！俺、とんでもない人と結婚すんだなって」
「それはこっちのセリフだよ(笑)」
「すみません、抱き締めたらダメっすか！？」
誰に対しての許可取りなのか可笑しく思っていると、先ほどのスタッフさんが「是非是非」と笑っている。そういうことか。
「優しくね」
「だよな、崩れちゃうよな」
「うん、お願いね」
白いレースの手袋を纏った腕を広げると、そっと抱き締められた。
随分大胆なことをするもんだ。
今まで人の前でこういうことは一切して来なかったし、きっとこれからも今日以外ではしないだろう。
だから今日くらいはいいよね。
他の人にほんの少しくらい幸せを見せつけても罰なんて当たらないよね。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 507人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
岸くん推し - あさひさん！はい！楽しみにしています！ (2023年2月21日 20時) (
レス) id: 9b03f4350a (このIDを非表示/違反報告)
あさひ(プロフ) - 岸くん推しさん» お返事遅くなってしまいすみません（ ; ; ）コメントありがとうございます！嬉しいです(^^)これからも楽しんでいただけますように(^^) (2023年2月12日 2時) (レス) id: b758be0db0 (このIDを非表示/違反報告)
岸くん推し - とても素敵な作品です！いつも楽しく見ています！ (2023年1月14日 14時) (レス) @page24 id: 9b03f4350a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あさひ | 作成日時：2022年1月17日 2時
