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リンクにつき、受付を済ませた。


「ゆづくんこんにちは!」


「こんにちは」


リンクメイトである小学3年生の連は
いつも自分を和ませてくれる。


靴を履く時も、話に来てくれる。



「ゆづくん、高校生どう?

かわいい女の子いる?」


「え、なんで?」


なんでこのタイミング??


「だって、高校ってJKっていうがかわいい
女の子たちがいるんでしょ?」



「そんな、非現実的なことは
あまり起こらないかもな…」


「えー?
でも、アニメでは、高校生で…」


連先生からの説得を30分以上されて、
明らかにレッスンの時間に遅刻するという
ミスを犯した。

コーチは安倍奈々美先生。
厳しくも、しっかりと自分のことを
考えてくださる。


「ゆづ、遅かったじゃん!
連ちゃんとデートでもしてたの?」



「そんなわけないじゃないですか(笑)」



「よし、じゃあ始めるよ」



「はい」


アップね、と言われてリンクの端から端まで
滑り込みを始めた。


フィギュアスケートは、長距離走を
猛ダッシュで走るような体力の消耗をする。


自分は喘息を持っているため
呼吸がしづらい。

でも、スケートをしたいという
思いで、そんな気持ちを押し殺した。


毎日、夜7時くらいまで練習をして帰る。


今日は7時より少し早めに上がった。
靴を拭き、汗を拭った。


いつもより少しだけ体が重かった。
今日の振り返りをしながら、受付に
軽く挨拶をして出口に向かった。


有未が手を振ってきたけれど、
こちらは手を振ることはなく、
手をあげて返した。


するとは有未は嬉しそうに
微笑んだ。



帰り道はいつも1人。
周りにスケートをやってる人はいないし、
帰り道が同じ人がいない。


それに、こんな時間に帰る人なんて、





いるわけ、





なかったはず…





「どうして、お前が…?」




僕の呟きに気がついた彼女は、
街灯の下で微笑んでこちらを見た。




『結弦、くん?』




「A、お前なんでこんな時間にこんな所で」




『あっ、私ね、フットサルのチームに入ってて
そのチームメイトと待ち合わせなの』



「桧山?」




『ううん、桧山くんは、帰ったよ。

ねえ、』




「ん?」




『なんで、桧山くんと帰ること、
知ってるの?』



「実は、聞こえて、ってか、聞いてて」



『そう…
私実は、さっき
桧山くんと、付き合おう、って』



Aが、桧山、と…?




「へーそうか、良かったな」


俺は、その言葉を言い捨てた。




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作者名:五月女遥 | 作成日時:2016年12月28日 23時

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