136,天羽単【メロンパン×2】 ページ3
「私がしたこと?」
何を、したと言うのかさっぱりわからない。父の作った制度を受け継いで、その制度を確固としただけである。包み込まれた頬に、血がついて不快でならない。
全くわからないのである。自分が何を間違えているのか。
「……」
爪で人差し指を引っ掻く。頭をかいて、そしてため息をこぼした。
「あなたのせいね」
青い目をした少年は、怯えたようにカナを見た。それを御構い無しに、単は続ける。
「これだから0%は嫌なのよ。自分のことばかり。自分の不幸を他人のせいにするだなんて、迷惑極まりない。人の積み上げたものを、当然のように踏みにじる。自分が不幸だからっていう、それだけの理由で。だから、」
それ以上は言葉を飲み込んで、また少年を見る。
「羨ましいわ。自分の不幸を、他人のせいにできるんだもの」
カナの手首触れて、衛兵に連れて行って命令する。すると、少年はさわるな、と小さく唸った。それを見下ろして、単は続ける。
「早く病院に行かないと、死んじゃうわよ。今この状態であなたは彼女を救える?だとしたらそれは絵空事よ。そんなくだらない考えは捨てるべきね」
「ああ、違うわね。あなたが思うのは私が彼女を殺すってこと。安心なさい。あなた方さえいなければ、この国に死人は出ないの。あなたたち以外、みんな幸せに生きているもの。みんな、殺生なんて嫌いなのよ」
今度は息をしっかりと吸い込んだ。血のにおいが、口内に侵入する。ああやはり、不快でならない。ギリっと手を握りしめる。
何もかも不快でならないのだ。目の前にいる少年も、血まみれで倒れているあの少女も、オロオロと周りで見る衛兵たちも。気持ちが悪い、吐き気を催す。
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
DAU姉妹 - 言い忘れてた。更新しました。 (2020年7月18日 17時) (レス) id: f520619b88 (このIDを非表示/違反報告)
DAU姉妹 - なんかどんな感じで終わったんだっけ…。繋げたいけどうまく繋がんない。更新します。 (2020年7月18日 12時) (レス) id: f520619b88 (このIDを非表示/違反報告)
is(プロフ) - ああああああああああ!やっとキタァぁぁぁぁっぁぁ! (2020年7月15日 8時) (レス) id: 67d532d5a9 (このIDを非表示/違反報告)
響@雫3318(プロフ) - 更新しました! (2020年7月14日 19時) (レス) id: 5eb25cbad8 (このIDを非表示/違反報告)
響@雫3318(プロフ) - 更新してみます…ネタがぁっ… (2020年7月14日 17時) (レス) id: 5eb25cbad8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ